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2016 年度 実施状況報告書

テキストマイニングを活用したコモディティ化をもたらす要因の動態的分析

研究課題

研究課題/領域番号 16K17171
研究機関長崎大学

研究代表者

土橋 力也  長崎大学, 経済学部, 准教授 (00588923)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードコモディティ化 / テキストマイニング / 自転車産業
研究実績の概要

本研究は、申請者がこれまで展開してきた製品のコモディティ化をもたらす要因の研究に、テキストマイニングの手法を取り入れて、製品特性、産業構造、知覚品質の相互の関連性と影響力の強さを動態的に分析することを目的としている。具体的には、コモディティ化をもたらす製品特性、産業構造、知覚品質の相互の関連性と影響力の強さを動態的に分析するために、新聞記事・専門雑誌と企業へのインタビューデータをテキストマイング(以下TM)する。

今年度は、(1)テキストデータの収集、(2)先行研究のレビューを実施した。TMでは、どのようなテキストデータを活用するかが非常に重要であり、慎重にデータを収集しなければならない。そのため、ソースの選定を何度か修正した。本年度は、TMを行うためのテキストデータのクリーニング作業を実施した。この作業は、正確なTMを行うために不可欠なものである。ここでは、検索語を選定するために、まず先行研究を読み、関連する内容を抽出した。その後、日経テレコンにて、「自転車」というキーワードで42年分のデータを検索した。そこから、テキストデータの傾向をおおまかに目視し、本研究とは関係のない内容(例:事件、事故、裁判、政策、人事)などのデータを除外していった。最終的に、日経メディアマーケティング社から、「日本経済新聞朝刊」「日本経済新聞地方面」「日経産業新聞」「日経MJ」「日経プラスワン」の1975年1月から2017年2月までの42年分(6204件)のテキストデータを分析可能な状態に仕上げることができた。

次に、先行研究のレビューでは、コモディティ化やイノベーションに関連する文献を精読し、コモディティ化が生じるメカニズムについてあらたなフレームワークを導出した。また、日本の自転車産業の動向や中国・台湾の自転車産業の現状についても資料を整理することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度の研究計画は、1)新聞記事・専門雑誌の収集、2)先行研究のサーベイ、3)インタビューデータの再収集の三つを予定していた。これら3つの項目についてほとんど全て完了しているために、今年度の研究計画は「おおむね順調に進んでいる」と考えられる。
新聞記事・専門雑誌の収集については、上述したようにデータのクリーニング作業まで完成しているため、次の分析の準備は完了しているといえる。また、先行研究のサーベイについても、コモディティ化、日本の自転車産業の動向、中国・台湾の自転車産業の動向などの文献を入手し、サーベイもおおむね完了している。最後に、インタビューデータの収集に関しては、再度過去に実施したインタビュー内容を再検討した結果、十分な情報が得られていると考えられているため、文献収集のみでテキストマイニングを実施可能であると判断した。

今後の研究の推進方策

今後の研究の方向性として、平成29年度は整備したテキストデータのテキストマイニングを実施し、以下の二つを明らかにする。(1)製品特性、産業構造、知覚品質の相互の関連性と影響力の強さを明らかにする。そのために、それぞれの要因間の結びつきの強さを分析する「共起ネットワーク分析(TMの一つの手法)」を実施し、要因間の相互依存関係を明らかにする。つぎに、3つの要因のなかのどの要因がコモディティ化にもっとも強い影響を与えているのかを明らかにする。具体的には、データのなかに含まれる単語をコーディングし、製品特性、産業構造、知覚品質にそれぞれクラスター化する。そして、クラスター化された概念の出現頻度を計測することで、影響力の強さを明らかにする。

(2)製品特性、産業構造、知覚品質の経時的変化を可視化する。コモディティ化は産業の歴史のなかでゆっくりと経時的に進展するもので、突然生起するものではない。それゆえ、長期間にわたるデータを活用し、時系列に分析する必要がある。ここでは、バブルプロット(TMの中の一つの手法)分析を行い、三つの要因のうち「どれ」が「いつ」強く影響を与えていたのかを可視化する
そして、これらの分析結果を論文にまとめ、学会報告や学術雑誌へ投稿する。

次年度使用額が生じた理由

テキストデータを購入する予定で費用を計上したが、データの内容によって費用が変動するために、予定していた金額との差が生じてしまった。また、追加のインタビュー調査を実施する計画であったが、再度データを分析した結果、過去に実施したインタビューの内容で十分分析することができることが明らかになったため、調査旅費を削減したことにより次年度使用額が生じてしまった。

次年度使用額の使用計画

テキストマイニングに関わる書籍の購入や、学会報告へ参加するための費用として利用する。

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公開日: 2018-01-16  

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