本研究はイノベーション論の議論を踏まえ、製品戦略と製品の設計思想の選択の関連性について検討した。インタビューと公刊資料を用いた造船会社の事例研究を行った。その結果、製品全体レベルでは、製品の使用環境ないし補完財との関係により、製品のサイズの影響を受ける可能性が考えられた。製品のサブシステムレベルでは、大型の製品あるいは小型の製品を主力とする企業ほど、サブシステムレベルの設計は、製品全体の設計にすりあわされ、中程度のサイズを主力とする企業は逆に標準的な設計を選択する傾向が見られた。これは使用環境や補完財との相互依存関係と、量産品としての納期、コスト制約の両立を図るための折衷案であると考えられた。
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