研究課題/領域番号 |
16K17173
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
若林 隆久 高崎経済大学, 地域政策学部, 講師 (80738576)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | キャリア / ネットワーク分析 / ソーシャル・キャピタル / 組織行動 / リーダーシップ / 非公式組織 / キャリア教育 / 内省 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、現代において個人の持つネットワークがその個人のキャリアに与える影響を明らかにすることである。働く個人を取り巻く社会環境が急速に変化している中で、キャリアの現状の解明やキャリアに対して影響を与える要因の探求が喫緊の研究課題となっている。本研究では、社会ネットワーク分析の理論や手法を活用して定量・定性の両側面からアプローチし、現代のキャリアを考える上で鍵となるネットワーク要因を明らかにする。あわせて、実務的な貢献として、個人・企業・社会にとってどのように現代におけるキャリアを形成・支援すべきかの方策も明らかにする。本研究は学術的のみならず実務的にも大きな意義を有しているため、研究成果の情報発信・活用を通じた一般社会への還元にも力を入れて活動を行った。学術的な貢献と実務的な貢献の両方を達成することを目的として、平成28年度は以下のような活動を行った。 定量的な調査としては、自ら質問紙調査を実施するとともに、調査対象・データ提供元となる企業との関係の維持・構築を行った。質問紙調査としては、企業内のリーダー育成について他者との関わりの中で起こる内省に着目した調査や、大学生における人間関係のあり方に関する調査を実施した。 定性的な調査としては、「組織におけるキャリアとワークスタイル」研究会を中心に、実務家に対する継続的かつ詳細なケース・スタディを実施した。企業を対象とした研究会や研修の場も活用して、実務家との対話や相互フィードバックを行った。 これらの調査研究と並行する形で、研究成果の一般に対する情報発信・活用を行った。情報発信としては、一般公開の研究会、ローカルのラジオ番組、SNS、などにおいて情報発信を行った。研究成果の活用としては、大学での講義、大学生に対するキャリア教育・キャリア支援、企業向けの研究会、企業研修、などにおいて研究成果を活用し社会への還元を目指した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題はおおむね順調に進展している。 調査研究については、定量的な調査と定性的な調査ともに、順調に調査を進めることができている。質問紙調査やケース・スタディにより新たなデータを獲得できていると同時に、新たな調査対象・データ提供元となる企業との関係の構築も進んでいる。 研究成果の発表については、本研究課題に先行する研究課題であった研究活動スタート支援・課題番号26885061「職場におけるネットワークがパフォーマンスに与える影響およびそのメカニズムの解明」の内容を発展させながら新たに研究を進展させ、論文や学会発表という形で複数の研究成果を発表することができた。 一般社会への還元については、学術的のみならず実務的にも大きな意義を有している本研究の特色を活かすため、様々な場で研究成果に関する情報発信・活用を行うことができた。これまでも一般社会への還元には注力してきたが、特に企業向けの研究会や研修、大学内におけるキャリア教育・キャリア支援において情報発信や活動の場を広げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査を進展させる形で、個人が持つネットワークとキャリアの関係に関する定量的な調査と定性的な調査の両方を継続する。既に取得している調査結果の分析を進めるとともに、継続的に新たなデータを獲得していく。 平成29年度が本研究課題の最終年度となることも鑑み、研究成果の発表・活用に特に力を入れていく。調査結果や研究成果について、調査対象となる個人や企業とディスカッションを実施したり、「研究から実務へ」および「実務から研究へ」の双方向のフィードバックを行ったりすることに注力する。このことにより、学術的な研究成果がより精確で意義深いものになると同時に、実務的にも現実に即した実行可能性の高い方策を提案でき貢献が大きくなる。 平成28年度に引き続き、研究成果の一般社会への還元も行っていく。特に、平成28年度に新たに広がった活動の場を中心に、研究成果の情報発信や活用の質・量をともに向上させる。このことは、実務家との対話・交流を行いながら研究を進めるアクション・リサーチを実施する本研究の内容を豊かにすることにもつながる。 上記のように、調査研究、教育、一般社会への貢献をうまくリンクさせ、各活動の成果を高めていくことを目指す。
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