本研究課題では株主と従業員の間での利益分配問題に関して検証を行った。検証の結果、日本企業はアメリカと違って依然として配当を重視していることや、業績変動リスクが高い企業はより多くの非正規労働者を採用し、株主への利益還元の際には自社株買いの割合を高めることで企業全体のリスクを下げようとしていることが明らかとなった。また、2003年の派遣法改正による製造派遣の解禁が企業の雇用調整を容易にしたことで、企業が実施する自社株買いの割合や保有する現金、負債など、企業の財務政策に影響を与えていたことも明らかとなった。
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