研究課題/領域番号 |
16K17185
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
山崎 喜代宏 中京大学, 経営学部, 准教授 (40551750)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 製品開発 / 新競争要因創出 / 製品トラジェクトリー / 製品ライン戦略 / プロセス解明 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、時間の経過ととも多様化していく競争要因に着目して、新しい競争要因が創出されるメカニズムの論理を構築することである。新しい製品分野を形成するような大きな競争要因が生まれた事例を取り上げ、どのような製品開発プロセスのもとで、競争要因が生まれてきたのかについて探索的な考察を行うものである。 計画している具体的な研究項目は、以下の3点である。まず、①研究対象産業における製品進化のトラジェクトリーを明らかにした上で、②研究対象産業で既存とは異なる競争要因を生み出した製品の開発プロセスを解明し、③その競争要因を持つ製品のその後の製品展開を分析することである。これまで動態的に捉えられてこなかった新競争要因創出プロセスを解明することで、コモディティ化に苦しむ産業・企業にとって有益な示唆が得られると期待される。 本年度は、具体的な研究項目のなかの1つめ、①研究対象産業における製品進化のトラジェクトリーを明らかにするために研究を進めた。1995年から2003年までのデジタルカメラ産業における製品トラジェクトリーを、その期間に発売されたすべてのデジタルカメラの製品データを用いて、その特徴を明きからにし、それを論文としてまとめた。 第二の具体的な研究項目である既存とは異なる競争要因を生み出した製品の開発プロセスを解明するために、薄型テレビ産業におけるソニーのテレビ、デジタルカメラ産業におけるカシオ計算機「EX-S1」、据置型ゲーム機産業における任天堂「Wii」について、その製品開発プロセスを詳細に記述し、その共通項や相違項を明らかにする著書を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において、計画している具体的な研究項目は、以下の3点である。まず、①研究対象産業における製品進化のトラジェクトリーを明らかにした上で、②研究対象産業で既存とは異なる競争要因を生み出した製品の開発プロセスを解明し、③その競争要因を持つ製品のその後の製品展開を分析することである。 本年度は、3つの具体的な研究項目のうち、第一の研究項目と第二の研究項目について、研究を遂行した。その結果、第一の研究項目については、デジタルカメラ産業における1995年から2003年までに発売された全製品データを用いて、製品トラジェクトリーを明らかにしようとする試みを行い、その結果を論文としてまとめた。今後は2004年以降から現在までの製品トラジェクトリーを明らかにする必要があり、この時間的に意味においては、半分ほどができたと考えられる。研究手法的には、分析視角が定まったことから、データさえあれば、その後の製品トラジェクトリーを明らかにすることができるであろうが、まだ2004年以降の製品データを入手していないので、今後は、そのデータ入手が研究遂行には必要になる。 第二の研究項目については、異なる3つの製品分野の製品を取り上げ、その製品開発プロセスについて著書としてまとめた。そのなかで、今後はデジタルカメラ産業について取り上げていきたい。特に、今回取り上げたカシオ計算機は、新しい競争要因を持つ製品を継続的に開発し続けており、産業では異色の存在である。新しい知見が得られるフロンティアになり得るのではないだろうか。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、時間の経過ととも多様化していく競争要因に着目して、新しい競争要因が創出されるメカニズムの論理を構築することである。新しい製品分野を形成するような大きな競争要因が生まれた事例を取り上げ、どのような製品開発プロセスのもとで、競争要因が生まれてきたのかについて探索的な考察を行う。 本研究では、カシオ計算機に焦点を当て、その製品開発プロセスを考察する。これまで2002年発売の「EX-S1」の開発プロセスについては詳細な分析を行ったが、今後は、その後発売された「EX-F1」や「EX-TR100」、「EX-FR10」の製品開発プロセスを分析していきたい。特にこの3つの機種を1つずつ分析していくというよりは、3つの機種の開発プロセスを比較したい。なぜなら、既存競争要因とは異なる製品であっても、その開発プロセスには差異があるのではないかと考えているからである。 またデジタルカメラ産業全体の製品トラジェクトリーと明らかにするため、2003年以降の製品データを入手し、分析することもしたい。これはデータ入手が鍵となるが、来年度以降、入手できるよう手はずと整えていく。 また、本研究の具体的な研究項目の3つめであるのが、既存製品とは異なる製品に続いて開発された後継の製品が、どのような意図のもとで開発されてきたのかを分析することにより、新競争要因が顧客・市場に受け入れられるために、どのような製品展開戦略を行っているのかを解明することである。この研究項目を解くために、カシオ計算機の製品ライン戦略を明らかにしたい。「EX-S1」以降については、データはそろいつつあるので、今後は、それ以降の機種に関しても、データ入手とその考察を行っていきたい。また企業を広げ、ミラーレスカメラを開発したオリンパスとパナソニックにも研究対象を広げたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
パソコンを購入する予定であったが、海外学会への参加・研究発表を優先した結果、一部基金が余った。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度以降、耐用期間を過ぎたパソコンの更新に使用したい。
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