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2019 年度 実績報告書

現金保有のダイナミズムとキャッシュリッチ企業の投資行動

研究課題

研究課題/領域番号 16K17187
研究機関近畿大学

研究代表者

中岡 孝剛  近畿大学, 経営学部, 准教授 (50633822)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードテールリスク / 量的緩和政策 / 子会社保有の現金 / 経営者の能力 / 中小企業の現金保有 / 現金の市場価値
研究実績の概要

本研究では,我が国企業の現金保有行動とその経済的な成果を計量経済学,ならびにノンパラメトリックな統計分析を用いて検証している.まず第1に,我が国の上場企業を対象として,モンテカルロシミュレーションによってEarnings at Riskを推定し,仮にそのようなテールリスクが顕在化するならば,どの程度の資本消失を伴うかを検証した.その結果から,最適なバッファとしての現金保有の導出を試みた.第2に,量的緩和政策に伴う銀行業の現金・預け金(日銀当座預金を含む)が当該業種の生産性変化に及ぼす影響を検証した.検証にはデータ包絡分析を採用し,生産性変化の測定を行った.その結果,量的緩和政策に伴う現金・預け金の増加は,貸出や有価証券の購入を通じて生産性を向上させるが,その効果は限定的であることは示された.第3に,我が国上場企業のデータを用いて,子会社保有の現金が市場価値を毀損させるか否かを検証した.親会社が子会社の現金を内部資本市場を通じて効果的に活用できるかは,経営者の才覚に依存するという仮説を設定し,経営者の才覚については,DemerjianらによるManagerial Ability Score(MAスコア)を採用して検証している.その結果,子会社保有の現金については,市場価値を毀損するが,経営者の能力が高い(MAスコアが中央値以上)ほど,その毀損度合いは緩やかになることが明らかになった.そして,最後に,中小企業の現金保有行動について,2008年の金融危機前後のデータを用いて検証を行った.その結果,中小企業の現金保有の決定要因として,上場企業と同様の動機が働いており,その中でも予備的動機が最も強く働いていることが明らかになった.また,金融危機前後での現金保有水準の調整スピードは,メインバンクとの関係がより親密なほど,最適な水準までの調整スピードが遅いことが明らかになった.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Loughborough University(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      Loughborough University
  • [国際共同研究] Universidad Publica de Navarra(スペイン)

    • 国名
      スペイン
    • 外国機関名
      Universidad Publica de Navarra
  • [雑誌論文] 事業収益におけるテールリスクの定量化:モンテカルロシミュレーションを用いた簡便法2019

    • 著者名/発表者名
      中岡孝剛
    • 雑誌名

      商経学叢

      巻: 65 ページ: 279 - 297

  • [学会発表] Analyzing the Productivity Change and Quantitative Easing in the Japanese Banking Industry2019

    • 著者名/発表者名
      Takayoshi Nakaoka
    • 学会等名
      The16th European Workshop for Efficiency and Productivity Analysis
    • 国際学会
  • [学会発表] Analyzing the Productivity Change and Quantitative Easing in the Japanese Banking Industry2019

    • 著者名/発表者名
      Takayoshi Nakaoka
    • 学会等名
      RIETI Workshop

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公開日: 2021-01-27  

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