研究課題/領域番号 |
16K17189
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
黒澤 壮史 神戸学院大学, 経営学部, 准教授 (10548845)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | イシューセリング / コンピュータセキュリティ / シーサート / CSIRT / 組織変革 / センスメーキング |
研究実績の概要 |
本研究課題はイシューセリング行動によるボトムアップ型の変革行動について、コンピュータセキュリティのイシューを対象とした研究である。初年度の研究業績としては、「学内紀要への投稿」、「SCOS2016 Swedenにおける報告」、「日本経営学会における報告」、「経営学論集(日本経営学会)への投稿」である。 学内紀要に関しては、各種企業や団体へのヒアリングに基づいて、コンピュータインシデントの歴史的変容について考察した文献を発表した。当該研究において、コンピュータインシデントが、1970~80年代の初期のインシデントから社会的な文脈の中で性質が変容していること、更にインシデントの変化に伴って企業側の対応の在り方が変容してきたことを明らかにした。この研究は、各企業のコンピュータセキュリティ担当者が企業内でイシューセリング行動を行う際の社会的コンテクストとして明確にしておくべき研究である。次年度以降の個別企業の行動を説明する際の重要な前提要因として明示しておくべき内容であり、今後の研究の中で重要な点について言及した。 また、SCOS2016においては、上記のようなコンピュータインシデントの変化と企業のコンピュータセキュリティの共進化の在り方について、アクターネットワーク理論とナラティブ理論の観点から考察し、人的なアクターの意図と行為関係を超えた多様なアクターの関係性について考察した。 日本経営学会の報告や経営学論集における投稿では、主にイシューセリング行動に焦点を当てて、イシューセリング行動において、どのような言説が用いられているのか、言説の戦略について考察した。その結果、「売上」や「数値データ」といった一般的な見解については因果関係を確認することができたが、先行研究で述べられているような多様な戦略像を明らかにするためには多様な調査手法等が必要になることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題以外の総合的な業務環境の中で想定外の状況が生じたため、本研究課題の進捗に影響が生じてしまった。本来であれば、現時点で7割程度の進捗であるデータベースも前年度末までに完成している予定であったことから、遅れが生じていること自体は否定しがたい。 また、ヒアリングについても、全体としては適切に行われているが、個別企業の担当者レベルに対するヒアリングが少々遅れている状況である。昨年度に起きた状況については、次年度は大きく改善される予定であるため、その中で本研究課題の推進ペースを速めていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策としては、データベース作成などに関する業務を自分だけでなくアルバイトを雇用するなどして単純作業に費やす時間を可能な限り縮減する必要がある。 また、研究を推進するにあたって、単独だけでなく、研究協力者との連携研究を積極的に進めることが研究のスピードを加速し業績発表するうえで有効であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画通り、調査の継続と研究業績の報告等において必要経費が生じるため。
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次年度使用額の使用計画 |
主なヒアリング先が通常、東京本社に存在するため、国内出張が5回ほど想定されている。また、国際学会における成果報告も予定されており、そちらも必要経費として想定している。その他、ヒアリング録音データの保存のための記憶装置等の経費が生じる可能性がある。
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