本年度は、研究計画の最終年度であった。これまでの研究活動を総括し、いくつかの成果にまとめることができた。主な成果は、以下のとおりである。 そのうちの1つは、新興国市場における失敗の研究である。この研究の成果は、多国籍企業学会の東部例会で発表を行った。当該研究では、まず新興国市場における日本企業の失敗について、先行研究を整理し直し、3つの仮説を提示した。先行研究のレビューでは、経営戦略論や国際経営論など、直接的に関連する研究だけではなく、隣接分野の文献も積極的に取り上げた。さらに、導出された仮説について、公刊資料にもとづき、単一企業の事例分析を行った。分析の結果、先行研究では、主に戦略・組織的な要因による失敗に注目されてきたが、組織のなかの個人(特に経営者)とその相互作用に着目する視点も重要であることを指摘した。 別の研究では、海外子会社に対して行った質問票調査から得られたデータを用いて、組織内外の連携が現地での知識創造に及ぼす影響を明らかにした。この研究は、論文としてまとめ、学会誌に投稿中である。 上記以外にも、大学の紀要などに論文を投稿するなど、一定の研究成果をあげることができた。
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