研究課題/領域番号 |
16K17192
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
高木 俊雄 昭和女子大学, グローバルビジネス学部, 准教授 (80409482)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 経営戦略 / SaP / 実践として戦略 / CMS / 新制度派組織論 |
研究実績の概要 |
本研究では以下の3つの課題を設定し研究を進展させている。それは、「課題1:経営戦略論の発展による戦略概念の正当化と経営戦略論の規範喪失」、「課題2:戦略概念が正当化されることで現れる戦略実践」、そして「課題3:研究者は経営戦略論をいかに研究することが可能なのか」である。そして2016年度は、「課題1:経営戦略論の発展による戦略概念の正当化と経営戦略論の規範喪失」に対し、学説の発展と実務からの要請との関連を明らかにすることを目的として設定した。 このことに対し申請者は、経営戦略論が発展することにより経営実践において「戦略」という表象が正当化されている一方で、経営戦略論の規範が喪失することについて、産業界からの要請によって経営戦略論がどのように発展していったのかに関する研究を行った。特に、1980年代以降、実務家に対し応える「ツールとしての戦略」をPorter(1980)を代表とする競争戦略論や、Wernerfelt(1984)やBarney(1991, 2002)のRBV等の戦略論が主流になる理由について、ビジネススクールに対する実務界からの要請や、即座に実務に応用できるような授業内容の教授という学生からの要求、また、企業が多角化し細分化することにより、それぞれの市場でいかに勝ち残るかが企業にとって重要となってきたことなどについて文献調査を重ねた。特に「ステークホルダー」である企業から、経営戦略論研究者やビジネススクールへの要請というコンテクストをCMSという批判的観点や、戦略論が形成されていく過程を追うSaPの観点から記述することで、経営戦略論と経営実践における戦略との関係性について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先に挙げた「課題1:経営戦略論の発展による戦略概念の正当化と経営戦略論の規範喪失」に対する研究を当初の予定通り行っているため、「おおむね順調に進展している」といえる。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は、「課題2:戦略概念が正当化されることで現れる戦略実践」に対応するために、企業を対象としたインタビュー調査および資料収集・分析を行う。具体的な対象としては、研究代表者が前回科研の際に調査を行ったICT企業のライン・マネジャー、技術者に加え、鉄道車両整備会社従業員および経営者を対象として実施する予定である。また、2018年度は、課題3の「研究者は経営戦略論をいかに研究することが可能なのか」について明らかにする予定となっている。 これらのことを円滑に実施するために、企業調査については事前に対象企業とミーティングを行い、調査に支障がないようにする。また、論文執筆および学会報告についても滞りなく準備をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定よりも安価に購入および出張が可能となったため、2017年度繰越が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越額は少ないため、2017年度は当初予定通り使用する予定である。
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