研究実績の概要 |
当該年度は主にレビューとアンケート調査設計、ならびにアンケート調査の実施を行った。 レビューでは自己表現ならびに自己呈示概念の再検討とブランドと自己表現・自己呈示に関する研究のレビューを行った。レビューの結果、第一に先行研究の多くで消費者は自己表現欲求を持つこと,そしてブランドの自己表現手段としての有効性は変わらないという前提が置かれている一方、Chernev et al.(2011)のようにその限界も指摘されていることがわかった。第二に、「ブランドにおける自己表現」といった場合に,多くの場合「ブランドを通じた自己呈示」を指すことが分かった。第三に自己呈示と類似する語のうち、自己開示のためにブランドが使用される可能性があり、今後の研究計画の中で検討すべきであることがわかった。第四に、自己呈示の手段としてのSNS(インターネット)に関する先行研究からここまでを見ると,ソーシャルメディアにおける自己表現はどのようなメディアを使うかによって影響を受けること,またソーシャルメディア上での自己表現がブランドへの評価と購買に影響を与える可能性が示唆された。 レビュー結果をもとに、仮説の導出ならびにアンケート調査の設計・実施を行った。本研究の仮説は、「SNS上での自己呈示を行うことにより、ブランドの自己呈示機能への評価が低下する」というものである。この仮説を検証するために、消費者を①SNSへの投稿を想定した文章ならびに写真のアップロードを行い、その後ブランドの評価を行うグループ②自己紹介に関する文章を作成し、その後ブランドの評価を行うグループ③ブランドの評価のみ行うグループに分け、アンケートを通じてブランドと自己との類似性、ブランドと自己との類似性、支出可能金額に違いがあるかを検証することとし、2019年3月にアンケート調査を実施した。
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