研究課題/領域番号 |
16K17198
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
石田 大典 日本大学, 商学部, 准教授 (80507872)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オープン・イノベーション / Appropriability / 外部環境要因 / 新製品パフォーマンス |
研究実績の概要 |
本年度は、オープン・イノベーションに関連する研究や製品開発研究のレビューを中心に概念モデルの構築を進めた。概念モデルでは、オープン・イノベーションの先行要因として技術不確実性や競争の激しさといった外部環境要因と経営資源や戦略といった内部環境要因を位置づけ、またオープン・イノベーションの成果要因として新製品パフォーマンスや組織内へ及ぼす影響を位置づけた。 『日経ものづくり』による調査では、多くの企業がオープン・イノベーションの重要性を認識しているものの、実際に取り組んでいる企業は必ずしも多くないことが明らかにされている。その理由として、十分な経営資源が確保できないことや知的財産の保護についての課題があげられている。そこで、本研究ではオープン・イノベーションを促進させるような先行要因だけでなく、抑制させる要因についても検討した。具体的には、Appropriability戦略(Cohen, Nelson, and Walsh 2000)や組織スラックに着目し、アウトバウンド・オープン・イノベーション戦略やインバウンド・オープン・イノベーション戦略との関係性を検討した。 オープン・イノベーション戦略の成果要因について、本研究に着手した当初はイノベーションのタイプ(累積的/破壊的)や新製品パフォーマンスに注目していた。ところが、こうし製品開発の成果だけでなく、組織に対しても様々な影響を及ぼしうることが仮説として浮かび上がってきた。具体的にはオープン・イノベーション戦略を進めることで、組織においてよりプロアクティブな文化が醸成されたり、部門間での協調関係が高められたりするなどである。これらの仮説に関しては、来年度において実証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、2018年度で研究が完了する予定であったが、完了することはできず延長することとなった。その理由として、概念モデルの構築に予想以上の時間がかかったことと、大学の異動により本研究に対するエフォートが減少したことがあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度においては、調査を2回実施する予定となっており、計画通りに進められる見込みである。研究を推進するために、必要に応じて調査を外部に委託したりする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、前年度において予定していた調査が実行できなかったためである。本年度における使用計画は、主として2回の調査の実施、データ分析用のパソコンの調達、海外学会への参加である。
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