研究課題/領域番号 |
16K17201
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
金 昌柱 立命館大学, 経営学部, 准教授 (40580501)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 革新的仕入行動 / 組織設計 / 小売バイヤー |
研究実績の概要 |
平成30年度では、小売企業におけるバイヤーの革新的仕入行動の実践的・理論的課題を、小売企業のマーチャンダイジング戦略における部門間連携と仕入先企業との関係管理という組織設計の問題から考察した。そのため、小売企業の事例研究や質問票調査データに基づく仮説検証を実施した。具体的には、Kim, Takashima and Newell(2018)の研究においては、とくに小売バイヤーの革新的仕入活動を促す要因として商品部と店舗部間の部門間コミュニケーションの重要性が強調される一方で、小売企業にとってバイヤーの革新志向が強い状況では仕入先企業を多様化しながら交渉力を高めていく仕入先分散戦略を積極的に採用しない仕入戦略の方が小売企業の競争力を導くという興味深い発見が得られた。このような課題を小売企業における仕入先担当者(小売バイヤー)と結び付けて考察する点は、小売企業研究や流通論に組織論の視点を取り入れた学際的研究として意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度では本研究課題に関する定量的仮説検証を行い、これらの発見をWeb of Sicenceにリスト化されているAsia Pacific Journal of Marketing and Logistics(SSCI)という国際ジャーナルにて論文を掲載することで、日本企業の興味深い取り組みに関する研究成果の国際発信を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度においては、平成30年度から引き続いて日本の小売企業の仕入担当者を対象とする事例研究・定量研究を実施し、これらの研究成果は随時海外の査読雑誌及び国際学会への情報発信を通じてこの分野での研究蓄積を増やしていきたい。具体的に平成28年度に構築された理論枠組みに基づいて、小売企業がバイヤーの革新性を導き、企業成果を高めることができる、組織内外的条件を考察する計画である。例えば、部門間協力やMD権限の配置などの組織内部的条件では商品部門と店舗部門の連携において内部組織をどのように設計すべきなのか、他方で仕入先コンフリクトなどの組織外部的条件では仕入先企業とどのような関係を形成し管理することが求められるのか、といった問題が考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に計画していた国際ジャーナルへの投稿が平成31年度へと見送られ、投稿に関わる英文校閲などの費用が助成金として残った。この助成金は平成31年度における国際ジャーナルへの投稿の際に執行する計画である。
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