研究課題/領域番号 |
16K17204
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
島田 佳憲 東京理科大学, 経営学部経営学科, 講師 (70733351)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 予想情報 / 設備投資 / 研究開発投資 / コーポレート・ガバナンス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,経営者が公表する将来における投資予想情報(設備投資予想情報ならびに研究開発投資情報)をコーポレート・ガバナンスを交えて分析することにある。とりわけ,(1)経営者が公表する投資予想情報を投資者はどのように評価して証券投資に利活用しているか,(2)経営者がどのような開示戦略をもって投資予想情報を公表しているか,という2点を明らかにすることを目的としている。 平成28年度においては,(1)の観点から,投資者による企業価値評価と密接に関連するインプライド株主資本コストと投資予想情報の開示について分析した。平成29年度には平成28年度の分析を基礎に,投資予想情報を開示している企業とそれらを開示していない企業のあいだで,インプライド株主資本コストを比較分析し,査読付英文雑誌へ投稿した。さらに,予想情報の精度(質)がインプライド株主資本コストの低下にどのように関係するかを分析した研究成果をとりまとめて国際学会へ投稿しており,平成30年度に発表予定である。 また,平成29年度には(2)の観点からの分析に着手した。経営者による一会計期間中の期中予想修正に注目し,コーポレート・ガバナンスと期中予想修正の関連性を明らかにする研究にとりかかり始めた。企業特性を前提としたうえで,どのようなコーポレート・ガバナンスが構築されている場合に,上方修正ないし下方修正をおこなう傾向が強まるかの分析をおこなっている。 加えて,ペイアウト(自社株買い)を分析対象の中心にすえて,経営者予想情報との関連性を明らかにする研究に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
投資予想情報の精度とインプライド株主資本コストの関係性において,当初予想していたのとは異なるとコーポレート・ガバナンスの影響が確認された。その適切な解釈のために,追加的な分析をおこなう必要があるが,おおむね順調に分析結果が得られている。追加分析後に英文論文の修正をおこなう予定である。また,経営者による予想情報の期中予想修正とコーポレート・ガバナンスの関係性の分析においても,多様な測定指標のあるコーポレート・ガバナンスのなかから鍵となるコーポレート・ガバナンスを特定化するのに時間を要しているが,他の点に関して分析はおおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
現在,査読付英文雑誌へ投稿している研究の査読対応を進める。また,国際会議で発表予定の研究については,会議でのコメントを論文に反映したのち,平成30年度中に査読付英文雑誌へ投稿予定である。加えて,経営者の期中予想修正に関する研究の分析結果をとりまとめ,国内外の学会等で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文論文の執筆に遅れが生じて英文校正費用が当初予定よりも少なかったり,購入予定であった消耗品の購入を見合わせたりしたために次年度使用額が生じた。未使用額は,平成30年度に英文校正費用やデータベース購入の費用に充てる予定である。
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