研究実績の概要 |
本研究では、まず公認会計士の告発動機に関する概念モデルを開発し、その妥当性を文化環境の異なる二国間、すなわちイギリス(自由経済を基礎とする国)と日本(調整経済を基礎とする国)の間で検証し、告発動機の背後にある要因を導き出すことを目的としている。これらの目的を達成するために、アンケート調査及びインタビュー調査を実施する。 2016年度の研究実績は以下の通りである。まず、2013年度からグラスゴー大学の M.Hudaib 氏と共同して取り組んでいる監査人の告発動機に関して、2014年度に実施した日本の監査法人に対するアンケート調査につき、本年度中にはその分析内容を更新し、近々にその結果を論文の形で報告する予定である。 また、本研究では、日本型の概念モデルの構築を目指し、イギリスの場合と比べどのような要因が日本の会計監査人の告発動機となっているのかを明らかにしようとしているが、そうした動機の解明に欠かせない、日本の文脈における倫理意識について、2013 年以降日本の企業倫理に関する研究動向を整理し、ヨーロッパに拠点を置く企業倫理学会において研究報告を重ねてきたところであるが、2016年度にも継続して、Horiguchi, S., 2016, "Japanese CSR: Extensive Accountability without Civil Society?" at EBEN RC 2016, September 8-9, University of Palermo, Palermo, Italyとして研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、イギリスと日本における告発動機の背後にある要因を導き出すために、アンケート調査及びインタビュー調査を実施する計画であるが、2016年度には、以前から継続している日本の公認会計士に対するアンケート調査結果の分析と解釈を行った。 具体的には、2016年11月から12月にかけて、研究代表者がイギリスを訪れ、研究協力者らとともに、アンケート結果に対する分析と解釈について討議した。 分析内容としては、各種記述統計および階層的重回帰分析の結果について確認し、IC(independent commitment), PCR(Personal cost of reporting), PRR(Personal responsibility for reporting)およびPOS(Perceived organisational support)が、外部的・内部的告発に対してどのような影響があるのかについて分析した。分析結果については、近日中に論文の形へまとめる予定である。
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