本研究の目的は,資本コストをベンチマークとした利益マネジメントについて包括的に分析することである。企業は資本コストを上回るリターンを獲得しないかぎり持続的成長や企業価値の向上を望めないとされる。そのため,経営者はリターンから資本コストを差し引いたスプレッドをプラスにする利益マネジメントを行うのではないかと予想した。 分析の結果,スプレッドのヒストグラムのゼロ付近において,ゼロを上回る区間の頻度がゼロを下回る区間の頻度と比べて非常に多いという不規則なゆがみの形状を確認することができた。このことから,経営者は利益マネジメントによって資本コストというベンチマークを達成していると解釈される。
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