研究課題/領域番号 |
16K17214
|
研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
鈴木 智大 亜細亜大学, 経営学部, 准教授 (50609021)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 業績予想 / 投資予想 / 経営者予想 / アナリスト予想 / 開示戦略 |
研究実績の概要 |
本年度の研究成果は、以下の3点である。 第1に、一橋大学伊藤邦雄研究室が実施した「日本企業のCFOに対する意識調査」の調査結果に基づいて、経営者の業績予想の開示方針と実際の開示行動について分析し、論文投稿を実施した。分析の結果、業績予想に関する開示方針を有している企業は「できるだけ正確な数値を公表」が過半を占めているが、「保守的な数値を公表」が約3割存在しており、「積極的(強気)な数値を公表」は少数であることが判明した。また調査回答企業の業績予想開示方針と実際の開示行動に齟齬は見られないことも分析から明らかとなった。ここから、経営者が業績予想の開示方針を変更しない限り、実際に開示された過去の業績予想データに基づいて分析する意義を確認した。加えて、期初予想は平均的には増収・増益予想を経営者は公表する傾向にあることから保守的な開示行動をとる企業であるか否かは、(過去の)修正行動を踏まえる必要があることが判明した。 第2に、経営者の業績予想の開示戦略に関係する先行研究を渉猟した。経営者が公表する業績予想に対する短期的な投資家の反応に関しては研究の蓄積が進んでいる一方で、長期的な帰結についてはあまり研究が進んでいないことを確認するとともに、近年いくつか同様の問題意識に基づく研究があることを発見した。ただし、分析結果を説明する理論についてはあまり触れられていないことから、心理学や社会学などの理論から説明できないかを検討するために、先行研究を渉猟した。 第3に、データベースの購入・整理を行った。投資予想情報については、学生アルバイトを雇いに入力を開始した。また今後の作業時間の短縮に向けて、財務情報・業績予想情報・株価情報については、自動ダウンロードできるプログラムを作成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
情報収集・整理は計画通りできており、事前分析も着手し、暫定的な結果を抽出することができている。一部投資予想情報のデータベース化作業に遅れが生じているが、深刻な遅れではなく、今年度に問題なく分析作業に移行できると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
おおむね計画通りに進捗していることから、今年度も着実に計画を進めていく。具体的には、継続的にデータベースの整理を実施するとともに、3つの分析作業を進めていく。なお分析結果の解釈における理論的説明を充実させるために、他領域で参考となる理論についても渉猟を続けていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初手入力を前提としていた投資予想情報について、一部データベースを購入することができたため、学生アルバイトへの謝金が減少した。
|
次年度使用額の使用計画 |
データベースの購入により、作業効率と正確性は格段に上昇したが、データベースに関する情報入手が遅れたため、学生アルバイトによる手入力部分の作業が一部残ってしまった。繰り越した金額は、そのまま今年度の学生アルバイトへの謝金にあてていく。
|