研究課題
本年度は、昨年度に引き続き、経営者の群衆的予想改訂行動についての論文の投稿・改訂作業を進めつつ、周辺領域の新たな研究を進めた。まず、経営者の業績予想改訂行動のハーディング(群衆行動)について扱った論文を海外のジャーナルへ投稿している。現在、論文の改訂作業中であり、採択まであと一歩のところまで進捗している。また、周辺領域について、企業のハーディングは企業間の相互作用であるため、企業間の距離や立地が重要となる可能性がある。例えば、企業が同様の地域に立地していれば、共通の社会的コミュニティに属するため、企業行動もその影響を受ける可能性があり、さらに企業がグループ内で異なる地域に立地していると、企業活動の経済的・制度的な差異によって異なる会計行動が観察される可能性がある。そこで、本年は周辺領域の研究として、新たに企業の地理的な立地と会計情報に関する研究も進めた。企業の立地に関する研究としては、2つのワーキングペーパーをまとめており、企業の立地は会計利益の調整や租税負担削減行動と関連している可能性があることがわかってきた。具体的には、まず、企業グループ内で親会社・子会社間の距離が離れると、子会社を通じた実体的利益調整が抑制されることが明らかとなっている。これは、親会社・子会社間の距離が離れることで双方の効果的な意思疎通が阻害され、調整コストの高い実体的利益調整が抑制されたのではないかと推測される。また、親会社・子会社が税率の異なる地域に立地すると、租税負担削減を目的とした利益の移転が生じる可能性があることも分かってきた。本年度は補助期間の最終年度にあたるが、投稿中の論文や、新たに作成したワーキングペーパーは、引き続き改訂を行い、出版につなげる予定である。
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中央大学企業研究所 working paper
巻: 48 ページ: 1-36
SSRN working paper series
巻: SSRN-id3157058 ページ: 1-47