研究課題/領域番号 |
16K17225
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
土田 久美子 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (20553035)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エスニック・コミュニティ / 多文化 / 共生 |
研究実績の概要 |
本研究は、複数のエスニック集団間の文化的差異や社会的・政治的資源の格差は、いかに調整 され、協働関係が形成されるのか、そのための社会的条件を析出することを目的とする。主な調査地は、米国カリフォルニア州ロサンゼルスのアジア系エスニック・ミュニティである。 2016年度は、前半に先行研究の整理を重点的に行った。同時平行として、多文化社会論、エスニシティ論、またエスニックまたは移民コミュニティ論の検討にも着手した。加えて、対象事例に関する新聞記事の検索と分析も実施した。後半は、前半の分析、作業を継続しつつも、事例調査に重点をおいた。今年度は、特に日系コミュニティに注目し、自集団の文化保存を特に志向する人びとにインタビューを行うとともに、コミュニティイベントなどで参与観察を行った。現在は、事例調査で収集したデータの分析を進めている。 研究発表として前半の成果を東北社会学会(2016年7月31日)に発表した。フロアとのやり取りから大きな示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前半は、計画通り先行研究ならびに理論の検討を実施した。特にすでに予備調査等で収集していたデータや新聞記事などの分析も行った。また、その途中成果は東北社会学会で報告も行った。また、後半は事例調査を実施し、そのデータの分析を進めている。また、2016年度の分析および研究発表の際に得たコメントなどから、2017年度に行うべき課題が明確になった。以上の点から、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
対象事例であるロサンゼルスのア)日系と韓国系アメリカ人コミュニティ間の連帯とイ)中国 系、ベトナム系、カンボジア系の連帯に関して、網羅的なフィールドワークを実施する。その際、参与観察とアクターを対象としたインタ ビューを主な手法とする。あわせて、両事例ともにコミュニティ組織が発行しているニューズレ ターや議事録の資料収集と分析も行う。 その成果は、2017年度の成果と合わせて、国内の社会学分野での学会で行い、論文を執筆する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、調査対象者が全て英語でのコミュニケーションが可能であったため、通訳を必要としなかった。したがって、通訳を雇用する際に必要な謝金が発生しなかったことから、当該助成金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、網羅的なフィールドワークを実施する予定である。そのため、以下の点で使用を計画している。第一に、そのための旅費として使用する。第二に、インタビューの録音に必要な機材、また調査対象者に関わる情報を保護するための外付け記録媒体(外付けハードディスクなど)などの物品に使用する。第三に、英語話者ではない対象者に対してインタビューを行う際に通訳を雇う必要があるため、その分の謝金が発生する。 以上のフィールドワークに加えて、海外学会での研究発表を計画しており、そのための旅費も発生する。
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