性暴力被害者支援を行う非営利組織を対象とした調査票調査に向けて、調査票の作成および倫理審査申請等を行った。 非営利組織を対象にした調査は従来、理論に基づかないまま、実践的な利益を優先して実施されてきたため、研究潮流が拡散し、組織研究の発展を阻んでしまっていることが指摘されてきた。それゆえ、本研究では、組織研究の発展にも貢献できるよう理論に基づくこと、また、実践的な活動にも寄与しうる知見を明らかにすることを重視し、調査を設計した。 性暴力被害者支援体制において、非営利組織が支える相談や支援は不可欠で意義深いものの、その実態はほとんど認識されていない。加えて、性暴力被害者支援の領域に限らず、非営利組織が直面する課題としては、世代交代が挙げられている。つまり、有償/無償ボランティアをベースとした活動に携わることができる人口は世代を経るにつれて減少していることがうかがえる。日本では1970年代以降のボランティア振興政策が新中間層の専業主婦をあてにしていたと言われるが、90年代以降、共働き世帯が増加したことを踏まえても、今後非営利組織活動の持続可能性は低いと言わざるを得ない。それゆえ、非営利組織が担う相談や支援の実態およびその持続可能性を明らかにすることは、今後の性暴力被害者支援の体制を構想していくうえで不可欠である。
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