本研究成果の学術的意義は、従来歴史社会学からのアプローチが皆無であった子どもの貧困や社会的養護をめぐる戦後の歴史に焦点を当てるとともに、そこで生活をした方々のライフヒストリーを明らかにした点にある。こうした研究対象をめぐっては従来主に社会福祉学の視座からの研究は少ないながら存在したが、社会的養護のあり方に対する批判的な視座も含みながら社会学の視座からの研究遂行が出来たことが本研究の最大の学術的成果であった。また、同成果は児童虐待や社会的養護のあり方が問われる頻度が増えた現代日本社会にとって、その歴史的反省を行う際に大きな資料提供をなす、という社会的意義も大きい研究成果であったと言える。
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