本研究では、学歴としての専門学校の効果を日本的な文脈への「埋め込み」を考慮しつつ計量的に検討してきた。最終年度である2018年度には、当初からの目的であった①性別による違い、②分野による違い、③時代による違いの検討のうち、①については「男女における専門学校進学の意味――『変容モデル』再考」として学術書『教育と社会階層――ESSM全国調査からみた学歴・学校・格差』東京大学出版会に、③については「既婚女性の就業選択と専門学校学歴――就業構造基本調査の世帯情報を用いた検討」として学術雑誌『社会科学研究』に掲載された。また、②については専門学校通学経験者(1957~71年生と1972~86年生の男女で割り付け)を対象に「専門学校通学経験者に対する全国調査」というウェブ調査を実施し、すでに集計が終了しており、これまでの研究よりも詳細な専門学校学科分類や、社会階層との関連を検討することができた。なお、上記研究成果のほかに、International Sociological Association Research Committee on Social Stratification (RC28) Conferenceにて“Reward Inequalities Caused by Educational Credentialism in East Asia: A Comparative Analysis Based on PIAAC Data”、数理社会学会にて「夫婦学歴の組み合わせと就業パターン――専門学校学歴に着目して」と題した学会報告をおこない、それに対する質疑応答などの研究交流を通じたフィードバックを研究に活かすことができた。
|