| 研究課題/領域番号 |
16K17240
|
|---|
| 研究機関 | 武蔵大学 |
|---|
研究代表者 |
林 雄亮 武蔵大学, 社会学部, 准教授 (30533781)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
| キーワード | 青年期 / 離家 / 性行動 / 性教育 / 家庭環境 |
|---|
| 研究実績の概要 |
平成29年度は、若年期におけるさまざまな格差・多様性に焦点を当てた実証研究を主に以下の２点について遂行してきた。
第１に、これまでの青少年の性行動全国調査データの主要な調査結果に関する時系列分析を行い、図書（林雄亮編著，2018，『青少年の性行動はどう変わってきたか――全国調査にみる40年間』，ミネルヴァ書房）として刊行した。本書全体では、日本性教育協会が中心になって1974年より７回に渡って実施されてきた本調査データを用いて、日本の青少年層の性行動や性に関する意識の変化と社会環境とのかかわりについて論じられている。また研究代表者自身は本調査開始時からの時系列分析、性行動における家庭環境の影響、性的関心の有無とそのタイミングの時代変化と要因についての実証分析を行った。
第２に、若年期に起こる家族的ライフイベントの代表である離家現象について、第７回社会階層と社会移動全国調査データを用いた時系列分析と離家を促進・抑制する要因について実証分析を行った。分析の結果、男女とも離家経験率は若いコーホートほど低下しており、離家年齢も上昇傾向にあること、最も若い1981-90年出生コーホートでは性差は消失し、離家理由の分布についても若い世代ほど性差が小さいことが明らかになった。さらに多変量解析の結果、本人の進学、就職、結婚経験は離家を強く促し、男性では進学、女性では結婚が主な要因になっていた。また男女ともに15歳時居住地の人口規模が小さいほど、きょうだい数が多いほど離家しやすいこと、長男であることは離家しにくく、長女の有意な効果はないものの、女子のみのきょうだいで育った女性は離家しにくい傾向があることなどが明らかになった。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、研究代表者が所属する別のプロジェクトに相乗りする形式で、青少年の性に関する全国調査を実施した。申請時の調査計画とは方法が大きく異なるものになったが、同様の研究テーマを有する大規模調査に参加することにより、より質の高い調査データを得ることができた。また、これに関わるデータ入力、データクリーニングにはかなりの時間を要したが、おおむね平成29年度内に終了することができ、データ完成までに1か月ほどの作業を残すところまで進捗している。早ければ平成30年度前半に基礎的な分析結果の発表、後半にはそれを元にした研究成果を出すことができるだろう。
また申請時には予定していなかった研究図書の刊行ができたことは、本研究課題において重要な位置づけとなっている。以上のことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
| 今後の研究の推進方策 |
平成30年度は平成29年度に実施した調査データを完成させ、その基礎分析を行い、得られた結果に理論的意義とインプリケーションを加えた調査報告書論文を作成することに焦点を置く。また研究計画の最終年度に当たるので、本研究課題の総括とそれを踏まえた新課題の導出についても考慮する。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
成果報告のための海外出張を予定していたが、スケジュールの都合で渡航計画が困難になった。その分は平成30年度の成果報告のための旅費に用いる予定である。
|
