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2020 年度 実績報告書

生活困窮から社会的孤立に至る因果経路に関する実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K17249
研究機関龍谷大学

研究代表者

三谷 はるよ  龍谷大学, 社会学部, 准教授 (60733326)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2021-03-31
キーワード生活困窮 / 貧困 / 社会的孤立 / 全国郵送調査 / パネル分析
研究実績の概要

本研究の目的は、「生活困窮から社会的孤立に至る因果経路」を実証的に検討することである。先行研究では、生活困窮と社会的孤立の関連が認められつつも、これらの関連がなぜ生じているのか、つまり、「なぜ生活困窮者は誰にも頼れなくなるのか」を説明できてはいなかった。そこで本研究では、全国規模の郵送質問紙調査を実施することによって、生活困窮と社会的孤立の関連を媒介する要因を明らかにすることを目指した。
2016年と2019年の2時点パネル調査データを用いて、構造方程式モデリングによる推定を行った結果、2つの媒介経路に関して有意な間接効果が認められた。第1に、「貧困である人は抑うつ傾向が高いため、孤立しやすい」という傾向が示された。第2に、「貧困である人は頼れる人も低階層であるため、孤立しやすい」という傾向が示された。すなわち、生活困窮者はメンタルヘルスを悪化させたり、周囲の人が社会経済的に余裕をもたない層であったりするため、困ったときに人に頼れなくなるということである。以上のように、2時点のパネル調査データを用いて、時間的前後関係を明確にした上で媒介要因を見いだせた点が、本研究の新規性である(学術的意義)。また本研究の結果は、生活困窮者の抑うつ傾向のスクリーニングの実施、あるいは私的サポートには頼れない人に対する公的サポートの重要性を示唆している点で、政策的インプリケーションを与えるものである(社会的意義)。上記の主要な研究知見以外にも、子ども期の不利(貧困、虐待、いじめ、不登校の経験)と成人後の社会的孤立の関連や、サポート・ネットワークと子育て中の孤独感の関連が上記調査データから明らかにされており、社会的孤立や孤独感の人生初期からの形成メカニズムについて理解を深めることができた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 育児期の孤独感を軽減するサポート・ネットワークとは2020

    • 著者名/発表者名
      三谷はるよ
    • 雑誌名

      家族社会学研究

      巻: 32(1) ページ: 7-19

    • 査読あり
  • [図書] よくわかる福祉社会学2020

    • 著者名/発表者名
      赤川学/井口高志/井口尚樹/石島健太郎/岡部耕典/堅田香緒里/金子充/金子雅彦/上村泰裕/神山英紀/川村岳人/菊池英明/金成垣/久木元真吾/是川夕/税所真也/鎮目真人/柴田邦臣/高野知良/武川正吾/冨江直子/仁平典宏/野辺陽子/畑本裕介/板東美智子/前田拓也/三谷はるよ/森川美絵/米澤亘
    • 総ページ数
      218
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623089734
  • [図書] Social Change in Japan, 1989-2019: Social Status, Social Consciousness, Attitudes and Values2020

    • 著者名/発表者名
      Carola Hommerich, Naoki Sudo, Toru Kikkawa, Hiroshi Kanbayashi, Ken Tanioka, Ryotaro Hazama, Haruyo Mitani, Makoto Hiramatsu, Kikuko Nagayoshi, Yuto Hashizume, Mitsuru Matsutani, Mari Higuchi
    • 総ページ数
      186
    • 出版者
      Routledge
    • ISBN
      9780367353773

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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