2019年4月から8月にかけては、9月からのフィールド調査のための各種書類や移動の準備に加え、国内でフィールドワークを行った。具体的には、西日本に事務所を置く労働組合2団体に対して聞き取り調査を実施し、派遣労働者に対する均等待遇原則の導入にまつわる労働組合としての意見と取り組みについてデータを収集した。加えて、労働基準監督署の監督官1名、働き方改革推進支援センターのセンター長に対しても聞き取り調査を行った。 8月には、大阪市で開催された関西業種別職種別ユニオン運動連絡会主催の講演に参加し、国内における均等待遇に向けた運動についてデータを収集した。 2019年9月から2020年2月末までサバティカル期間を利用し、ベルリン自由大学のGraduate School of East Asian Studies (GEAS) に籍を置き、フィールドワークを実施した。図書館(主に法学部図書館)にて労働者派遣法や非正規労働者にまつわる均等待遇原則の法制化に関する文献を収集し、労働組合や行政のウェブサイトからその背景や意図に関する情報を入手、分析を行った。加えて、GEASおよびフンボルト大学に在籍している非正規労働者の均等待遇および正規・非正規労働者間の格差研究の専門家と意見交換を行ないながら、聞き取り調査の対象を選定した。派遣労働者の均等待遇を実現する上で産別組合と使用者団体の間で結ばれている労働協約の内容を把握し、合意に至るまでの経緯および交渉の背景にある意図を把握するため、産別組合2団体幹部およびNPO法人の合計5名に対して聞き取り調査を実施した。聞き取り調査の実施に際して、4名についてはGEAS所属研究者と共同で実施しデータを共有した。11月にはGEAS主催のオープン・コロキアムにて研究発表を行い、GEAS学部長を含む教員および大学院生と意見交換・議論を行った。
|