研究課題/領域番号 |
16K17253
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研究機関 | 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所 |
研究代表者 |
吉田 舞 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (50601902)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 先住民 / 都市底辺層 / 相対的底辺化 / ストリートベンダー / 労働 |
研究実績の概要 |
2年目は、8月と2月にマニラ首都圏内のスクオッター(不法占拠地区)で生活するバジャウとその関係者への調査を行った。バジャウを取り巻く外的環境を把握するため、バジャウ以外の近隣住民に聞き取りを行った8月調査では、特に生活環境に焦点をあてて、調査対象者にインタビューを行なう予定だったが、フィールドワ―クの前日に火災が起こり、対象者の多くが家を失い、地方や親戚宅に一時避難する家族も多く、予定していたインタビューを実行することが困難な状況であった。しかし、急遽、援助活動に参加したことで、災害時のバジャウ間および非バジャウとのネットワーキングや、NGOや自治体、行政の支援者らとの関係性などを参与観察することが可能となった。
一方、2月の調査では、再びバジャウのコミュニティを訪問し、8月に予定していた生活に関するインタビュー調査を行った。また、バジャウの人びとの仕事環境に焦点をあてるため、初年度に事前調査を行った調査対象者の紹介により、ストリートで露天商や歩き売りを行っている人びとと、モールの中や、市設市場で店舗を借りている個人ベンダーへのインタビュー調査を行った。これによりバジャウを含む物売りの中での階層化が明らかになった。
以上より、本年度は、前半は、火災のために予定していたインタビュー調査が遅延したものの、2回目のフィールドワークにおいて、8月の予備調査の続きを行うことができた。国内での学会報告や研究会での調査報告も行うことができた。全体的に、フィールドワークは順調に進んでいるが、論文執筆に至ることができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年目は、初年度の事前調査で紹介してもらったコミュニティの住民や、露天商の人びとを訪ね、さらにインタビューを行なうことが可能となった。また、9月には、解放社会学会にて、本調査の報告を行った。このほか、1本課題の仮説について報告を行った。仮説をもとに、8月調査でデータ収集を行い、英語論文を執筆する予定していたが、調査対象地の火災により、当初予定していた調査対象者らにインタビューを行なうことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、前年度の調査で特定した対象者の生活史の集中聞き取りを行う予定である。時期は同じく8月と2月を予定している。12月のアジア社会学研究会で中間報告を行い、3月までに現地調査の結果を基にした論文を執筆する。その他の期間は引き続き国内でデータ整理と文献調査を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
8月の調査で、調査対象地における火災のため、予定していた調査対象者にインタビューを行なうことができず、年度内の論文執筆に間に合わなかったため、英文校正代の10万円を使用しなかったため、次年度使用額が生じた。
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