研究課題/領域番号 |
16K17253
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研究機関 | 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所 |
研究代表者 |
吉田 舞 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (50601902)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 先住民 / 都市底辺層 / 階層化 / ストリートベンダー / 労働 / 居住 / 社会学 |
研究実績の概要 |
3年目は、マニラでのフィールド調査(9月下旬)を行い、公設市場、国立公園、教会周辺のベンダーへの聞き取り調査を行った。ここでは、路上使用の規制取り締まりが厳しくなり、フィールド調査地では、路上で寝起きしていたバジャウが減少していたことが明らかになった。さらに、新しくギグ・エコノミーに参入するバジャウも出ており、職業の多様化・階層化の傾向も確認することができた。また、バジャウを支援しているNGOが運営している識字学級へも参加し、様々な事情から公式教育を受けていないバジャウの子どもたちとその親(多くがベンダー)へのインタビューを行った。
また、9月には、第37回日本都市社会学会でのテーマ部会にて「都市インフォーマリティ再考―マニラにおけるストリート・ベンダーの事例より」というテーマで本事業の報告を行った。11月には、オーストラリア・メルボルンのラトローブ大学にて行われた“International Research Forum on the Philippines 2019:Constructing Philippine Modernities”のパネルディスカッションで、本事業の成果を報告した。具体的には、マニラの都市開発におけるベンダーのジェントリフィケーションの実態と、そこで構築されるインフォーマリティのメカニズムについて説明した。また、メルボルン大学にて、学生および研究員に対し、本研究での調査法についての報告を行い、その内容について議論を行った。
このほか、研究代表者の所属先である社会理論・動態研究所の定例研究会にて本課題の研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策のため、2020年3月に日本からフィリピンへの出入国制限がかかったため、3月に予定していたフィリピンでの最終調査を行うことができなかった。この調査では、これまで収集したデータの確認および、バジャウのベンダーのフォーカス・グループ・ディスカッションを予定していたため、本年度に延長となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現地協力者と連絡を取り、フィリピンおよび日本国内のコロナウイルス拡大の様子を見ながら、現地調査が可能であると判断できた時点で、予定していた最終調査を行う。この調査については、すでに10組のバジャウのベンダーから承諾を得ており、本年度中にフィールドワークを終える予定である。また、それまでは、国内で引き続き、関連研究の文献調査を行い、可能な限り、最新の動向を研究期間内におさえる。また、5月には、本調査でのデータを使った論文を学術ジャーナルに投稿していることから、本年度中には成果報告を公開できる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策のため、2020年3月に、日本―フィリピン間の入国制限がかかったため、3月に予定していたフィリピンでの最終調査を行うことができなかった。そのために計上していた旅費が次年度使用額となる。
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