「認知症にやさしいまちづくり」の評価指標に関するボトムアップ型アプローチとして、昨年度開発した当事者・住民参加型のワークショップによるプロトタイピングの手法による評価を今年度はさらに発展させることができた。具体的には、昨年度作成した、町田市における「認知症カフェ」「認知症サポーター養成講座」の評価指標について、進捗を評価するフォローアップのためのワークショップを実施し、作成時の評価から一定期間経過後の変化を評価する試みを行った。その結果、各評価指標において、地域の取組の進捗を十分に評価できること、その過程において現状の課題や今後の取組の方向性の議論が促進されること等が明らかにされた。同様に、町田市全体の「認知症にやさしいまちづくり」に関する施策の評価指標として作成した16項目についてもフォローアップのワークショップを開催し、作成時からまち全体が具体的にどのように変化したのか、16項目の評価を達成するために自分たちがどのようなアクションを起こすことができるのか等、地域住民による活発な意見交換を促進することができた。 今年度は本研究の成果を国内外に広く発信し、今後の研究に向けたさまざまな関係者との意見交換や連携を図ることもできた。具体的には、4月に京都で開催された、認知症領域では世界最大のNGOであるAlzheimer's Disease Internationalの国際会議にて本研究テーマに即した公式ワークショップを実施し、国内の専門家のみならず、英国やカナダ、WHOの協力のもと、研究成果の発信と意見交換を図った。10月にはドイツで開催されたInternational Dementia-Friendly Networkの会合に参加するとともに、ベルギーとオランダの関係者及び関係機関を視察・訪問し、本研究のテーマについて国際的な協力体制の構築につなげることができた。
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