研究実績の概要 |
2018年度は、2017年度に作成した3時点縦断データ及び主な調査項目となる高齢者用うつ尺度とその他の調整変数項目のシンタックスとコマンドを用いてデータ解析を行い、解析結果を国際学会(The 10th International Society of Social Capital)及び国内学会(第77回日本公衆衛生学会総会; 第33回日本国際保健医療学会)で発表した。更に論文化を行い、現在投稿中の論文が1本、執筆中論文が1本である。 具体的には、高齢者のうつからの回復と地域のつながりの変化の関連を検証した。要介護認定を受けていない65歳以上を対象にしたJAGES(日本老年学的評価研究)データのうち3時点のデータ結合が可能であった16市町28,067名のデータを用いた(2010-11, 13, 16年)。2010、2013年にGDSが5点未満、2016年に5点以上をうつ発症、その逆の場合をうつからの回復とした。性、年齢を調整し、ポアソン回帰分析を行った。 その結果、約7% (746/10,826)がうつを発症し、約30% (528/1,847)がうつから回復していた。近所づきあいの変化はうつの発症の予測因子とはならなかったが、近所づきあいの維持はうつからの回復の有意な予測因子となっていた。うつ傾向になった高齢者も、地域のつながりを維持させることができれば、うつ傾向から回復できる可能性を示唆した。
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