研究課題/領域番号 |
16K17257
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小澤 裕香 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (00582032)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フランス / RSA / 就労支援 / 就労困難層 |
研究実績の概要 |
本研究は、中間的就労を担う多様なアクターの実態、および被就労支援者の個別具体的な支援事例について現地調査により明らかにし、中間的就労が効果的に機能するための諸条件を実践面も踏まえながら明らかにすることを目的とする。当該年度は、コロナ禍の影響を受けて、現地調査を行うことができなかったため、文献研究を中心に進めた。
今年度は、2000 年代に入りアクティベーション政策が本格化するフランスで、労働市場から排除された労働年齢層に対する最低生活を保障する制度として積極的連帯所得(RSA)がどのように展開したのか、また貧困削減効果や就労促進状況を検討することで、RSA の現状と課題を明らかにした。
明らかになった点は、第一に、給付要件はRMIからRSAへの転換を経ても収入要件のみで就労要件を課さないことを維持している(ただし第二次マクロン政権以降、急速に就労要件化へのと進んでいる)。第二に、参入支援の責任が地方自治体に置かれていた転換前のRMIに対し、RSAでは受給者側にその責任を求めるようになり、参入支援の拒否による給付の打切りが正当化され権利が後退した。第三に、RSA開始からおよそ10年間のRSA受給者数や漏給率の推移からみると、最低所得保障の縮小は観察されないが(制裁状況は今後要検討)、依然として漏給率が3割強であること、受給者の74%は相対的貧困線以下であり、また68%が対的はく奪の状態であり、所得保障水準の低さが常に課題となっている。第四に、就労率は14~16%と非常に低いのが実態であるが、国は労働市場の状況によっては職業的参入に限界があることを認める報告書を提出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で海外渡航ができておらず、現地調査によるデータ収集ができていないため。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査を再開できるように調整し、就労困難層への支援者、支援団代や関連行政への聞き取り調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外渡航費として計上していた金額が次年度に持ち越されたので、その分次年度使用額が生じています。次年度に海外調査を予定していく計画となっています。
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