研究課題/領域番号 |
16K17260
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
井口 克郎 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (10572480)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 介護保障 / 介護労働者 / 在宅介護者 / 地域包括ケア / 自助・互助・共助 |
研究実績の概要 |
本研究は、介護領域における公私役割分担システムの国際的比較を行い、要介護者とその家族の健康権を実現できる介護保障制度の具体像を追求することを目的としている。近年日本では、介護保険制度の運営に当たり、社会保障費抑制の政策的意図の中で、本人の自助努力および家族内での支え合いや、近隣での助け合いもしくは介護へのボランティアの積極的活用など「自助・互助・共助・公助」論を基調とした施策が進められている。他方で、家族内では介護殺人や心中事件があとを絶たず、疲弊している状況が窺える。要介護者及び家族の健康や生活を実現できる介護保障制度に向けて、諸外国の制度なども考察しながら具体像を提起する必要がある。 今年度は、1年目に続き、北欧フィンランドにおける介護保障システムとして特徴的な、親族介護制度や、フィンランドの社会保障政策動向に関する分析を行った。フィンランドにおける介護制度の中でもとくに親族介護制度は、自治体が在宅介護者に要介護者の介護サービス提供を委託するユニークな制度として整理できるが、その制度の備えている積極的側面と、他方で直面している様々な課題について把握することができた。 並行して、日本における介護人材に関する近年の政策動向や現状について分析し、依然として介護労働者においては労働条件の改善(ディーセント・ワークの実現)や人材不足の解消には遠い状況であり、また在宅介護者を取り巻く状況も引き続き抜本的な改善には至っていないことが明らかとなった。 日本と本研究の比較国であるフィンランド双方の状況を踏まえ、引き続き改善策を検討することが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はフィンランドの社会保障動向に関する追加調査を行った。また、これまでの調査内容の一部を日本医療福祉政策学会において発表するなど、研究内容の原稿化およびその準備等も進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに行った調査資料等を分析しながら、必要に応じて追加の調査を行う方針である。今年度行った学会報告等も踏まえ、学会誌への投稿を行うなど、研究成果の総括を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査等を当初の計画より期間の前半に前倒しした結果、資料整理・収集等の業務が最終年度に持ち越されている。最終年度、適切に執行する。
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