研究課題/領域番号 |
16K17263
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
久本 貴志 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (90452705)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 包括的な就労支援 |
研究実績の概要 |
まず文献や議会資料を読むことによって,アメリカにおける貧困層の就労支援についてどのようなことが問題とされているかを把握した。すなわち,公的扶助プログラムであるTANFに関する議論では,受給者数が減少したことで,受給者として残っている者は就労を困難にする問題を抱えているということである。GAO(米国会計検査院)の報告によると,健康問題,障害,麻薬乱用,犯罪歴,家庭内暴力,低学歴,障害をもった子どもや親のケアなどが就労を阻害する要因としてあげられていた。そのうえで,就労を困難にする要因を持つTANF受給者への就労支援に関して,TANF受給者の雇用や収入の増加が期待できる4つのアプローチとして,subsidized employment,treatment and employment service,career pathways,modified work-firstがあると指摘されていた。 そのなかで,treatment and employment serviceに着目し,ニューヨーク市のWeCareプログラムに着目した。WeCareプログラムは身体障害や精神疾患等の就労を阻害する問題を抱える公的扶助受給者に対するプログラムである。WeCareプログラムでは,対象者に対して包括的な就労支援をおこない対象者の自立を支援することになっているが,アセスメント上の問題や十分に就労支援がおこなわれていないなどの問題点が指摘されていることがわかった。 アメリカの就労支援が就労を強制する側面があることから,従来の研究では就労困難な者への支援について十分に検討されてこなかったが,そうした検討をおこなえたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アメリカにおける貧困層への就労支援に関する問題点やそれに対する改善策について把握することができた。包括的な就労支援の事例についても探し出すことができた。しかし,事例についてはもっと多く見つける必要があると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
さらに文献や議会資料を収集し読んでいくことと,現地調査の準備をおこなっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に現地調査をおこなうための予備調査を計画していたが,おこなわなかった。おこなわなかった理由は,議会資料等で情報を収集してより多くの情報を得てから,調査の準備をおこなう計画に変更したためである。
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次年度使用額の使用計画 |
予備調査をおこなわなかった分,現地調査を増やしていくことで対応する。
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