本研究の目的は、ソーシャルワーカーの専門性に関する理論的研究と、社会福祉協議会による住民活動への関与に関する歴史的研究、 住民参加型サービスに関与する専門家と住民に対する調査研究を通して、今日の日本の社会福祉政策推進における住民と専門家の役割 について分析することである。 H30年度は関東の某市において、地域活動に関わっている住民の主体性を明らかにする目的で、実態調査に取り組み、その成果をまとめた。某市の社会福祉協議会の職員と調査の設計をおこない、市内で活動をしている住民とともににアクションリサーチを推進した。具体的には、研究メンバー4名と3回の準備会を開催し、調査票を設計し、市内で活動する1900名の対象者に調査票を配布した。回収率は65%であった。 調査の結果、主体性といっても様々な形態の主体性があることが明らかになった。強いリーダーシップの基づく主体性や、弱いリーダーシップに基づく主体性など、主体性といっても多様であり、そうした住民の主体性を引き出す立場のコミュニティワーカーや行政の担当者は、そうした市内の住民の主体性と、活動の内容について検討した上で、地域活動の推進をすることが必要だということが明らかになった。 以上の調査に加えて、アメリカとイギリスのコミュニティ・オーガナイザー配置政策の分析をおこない、日本における今日の地域福祉政策を比較検討し、今後の地域福祉政策のあり方について研究成果をまとめた。
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