フランスの若年貧困対策は2000年以降、伴走支援を強化し、個別化された求職支援を実施してきた。その一方で、ユーロ危機以降、求職優先の伴走支援で過度に就労支援を推進することの問題点が浮き彫りにされていった。こうした状況に対応するため、ミッション・ローカル(地域青年支援局)は、第1に、伴走支援内容の見直し、第2に、求職中の若者への手当の支給、第3に、組織改革を実施した。そこで、最終年度は、ミッション・ローカルで導入された若者保証プログラム(Garantie Jeunes:以下GJと略記)に関する調査を実施した。また、GJの伴走支援には個別型伴走支援と集団型伴走支援の2種類が存在することを突き止めたことで、伴走支援内容の拡充にいたった経緯を掘り下げて分析した。 GJは、若者が相談員とマンツーマンで問題解決に取り組む従来の個別型伴走支援に加え集団型伴走支援を採り入れるとともに、若者に一定水準の手当を支給することで、フランスにおける若年貧困支援策を刷新した。これまでも若者に手当を支給する制度はあったが、年齢や支給額等の点で制限があった。GJは、若者に扶助と同程度の手当を支給し、さらに求職支援を見直した点で画期的な施策である。 GJは試験運用の結果、生活困難な若者の捕捉、伴走型支援の成果、就労促進効果が評価され全国で導入された。パリ市内のミッション・ローカルでの調査によれば、集団型伴走支援により若者同士の交流、生活リズムの回復、将来展望の構築、職業訓練の遂行など若者を取り巻く状況は好転していることが明らかになった。現地調査では、若者から直接聞き取りはできなかったが、数値化することが容易ではない伴走支援の実績をヒアリングから把握することができた。なお、GJにおける若者の言説は、『ミッション・ローカル年次報告』に収録されているインタビュー記事から捕捉することができる。
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