研究実績の概要 |
本研究の研究期間は3年間であり、平成30年度は最終年度であった。本研究の目的は、大腿骨骨折を経験した女性高齢者の在宅復帰に向けたソーシャルワーク実践に関して、回復期リハビリテーション病棟の入院患者(特に女性の高齢患者)への支援に関する現状と課題を整理し、多職種協働を基調とした、病院から在宅へ移行する際の効果的な支援方法を検討することにある。 平成28年度は、まず大腿骨骨折を経験した女性高齢者の現状把握・当事者が抱える固有の課題抽出・医療ソーシャルワーカーが行う退院援助の課題検討を主に文献等によって行った。そして、先行研究等によって得られた仮説をもとに調査項目を検討した。 平成29年度は、アンケート調査の実施にあたってプレテストを実施した。その際、調査項目の再検討の必要性が指摘されたため、当事者が抱える固有の課題や医療ソーシャルワーカーの退院援助等について、先行研究等の見直しや調査項目の練り直しを行った。 平成30年度は、全国の回復期リハビリテーション病棟のある病院の郵送リストを最新の情報に更新した。そして、調査項目を確定し、1,181か所へ郵送した。その結果、345名の医療ソーシャルワーカーから回答を得た(回収率は29.2%)。支援の実施状況については、廃用症候群の患者に比べ大腿骨骨折の患者への支援は行われているものの、脳血管疾患の患者より実施されていない傾向にあることが明らかになった。さらに性別でみた場合、支援における男女差はないとする意見がある一方で、男性に比べ女性への家事支援が多く実施されていた。 本研究の成果として2本の論文を投稿した(1つめは掲載済、2つめは投稿中)。
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