研究課題/領域番号 |
16K17271
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
福田 菜々 北海道科学大学, 工学部, 准教授 (70554731)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高齢者 / 居場所 / テンミリオンハウス |
研究実績の概要 |
平成30年度は、昨年度アメリカに滞在していたために実行できなかった行動観察調査を、再び東京都武蔵野市に住む元気な高齢者の良き居場所となっているテンミリオンハウスに対象を戻し、実施した。テンミリオンハウス1号目の「川路さん家」を複数日訪問し、プログラムが行われている日、プログラムが何も行われていない日の両方で利用者の行動観察調査を行い、違いがないかプログラムによる行動への影響を調査した。その結果、書道やコーラスなどのプログラムなどが実施されている時間帯は積極的で活発な交流行動が見られたが、具体的なプログラムが行われていない時間帯では、囲碁や将棋の盤を持ち出してきて対局を始める、読書や数独・編み物などの個人的な活動をしたり、またはこれらの活動をしながらも、周囲の利用者との会話を楽しむという「ながら行動」が見られた。このことから、テンミリオンハウス利用者の行動としては、主に積極的参加(複数人を巻き込んだ活動)と消極的参加(個人的活動)の二つに分類されると考えられた。しかし、参加の度合いや行動に関わらず、テンミリオンハウスに来るという行為が、家にひきこもりがちな高齢者の良き外出の機会となっていると考えられる。テンミリオンハウスは地域の人および同世代の人との接点となっており、希薄になりがちな社会との関係を維持するために重要な場所となっていると考えられる。 また、隔年で行なわれる国際学会IAPS(2018年度はローマ)では、テンミリオンハウスで行ったアンケート調査の結果を口頭発表し、各国の専門家から研究を更に進めていく上で、貴重なアドバイスを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初、平成29年度に実施予定していた国内での調査を今年度実施した(前年度は海外研修のため実施できなかった)。そのため、進捗状況としてはやや遅れていると判断している。しかし、予定していたテンミリオンハウスでの行動観察調査も滞りなく終了させることができたため、遅れを取り戻しつつある。期間延長を申請したため、残りの1年を利用して遅れを取り戻す計画を立てている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、行政からの援助額が異なる団体を主に北海道内で調べ、それらの団体の運営状況と地域資源状況をヒアリングおよびインタビューなどを用いて調査し、いかにして有意義な高齢者の居場所を提供しているのかを明らかにする。すなわち、地域の実情が異なる中で、どのように地域包括ケアシステムを確立していくのか、その具体的な方法を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間を1年延長する手続きを行ったため。 研究を遂行するために残額を利用する予定である。
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