研究実績の概要 |
本研究の目的は,複数の種別の高齢者介護施設における虐待について,施設特性もふまえた効果的な虐待予防策の解明を目指すことである.平成30年度は主に,①「アンケート調査の実施と分析」,②「研究成果の発表・報告」の二点に取り組んだ. ①「アンケート調査の実施と分析」については,これまで行ったインタビュー調査の結果や先行研究を参考に,大きく「虐待の実態」「虐待予防策」「虐待の原因」「虐待の意識」「基本属性」の5つで構成するアンケートを作成した.作成したアンケートは専門職等を対象にプレ調査を実施し修正した上で,A県にある全ての特別養護老人ホーム,認知症高齢者グループホーム,有料老人ホームに調査を依頼し同意が得られた施設・事業所に配布した. 調査の結果,合計5,307名分のアンケート用紙等を配布し,2,311名から回答を得た(回収率43.5%).因子分析,重回帰分析,共分散構造分析等を行った結果,施設種別によって「虐待の実態」「虐待予防策」への取り組み状況や,予防策の効果などが異なっていることが明らかとなった. ②「研究成果の発表・報告」については,平成29年度までに行った新聞記事をもとにした虐待事例の分析結果や,インタビュー調査の結果について,複数回学会発表を行うとともに,複数の論文を執筆・投稿し,既に掲載されている.さらに平成30年度に行ったアンケート調査の結果についても学会発表を行い,既に論文も複数執筆し投稿している.
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