研究課題/領域番号 |
16K17281
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
横山 由香里 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (40632633)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ソーシャルネットワーク / 認知症 / 災害 / 被災地 |
研究実績の概要 |
本研究は、東日本大震災後の人とのつながり(ソーシャルネットワーク)がその後の認知症発症と関連するかを検証するものである。 先行研究を概観すると、孤独と認知症との関連に関する先行研究が年々増加していることがわかる。2018年度は先行研究の知見を整理しながら、本研究の欠缺点や研究課題の意義について再考した。 また、現地関係者からも被災地の状況について情報を提供いただいた。岩手県の保健医療福祉関係者との情報交換を通じて、被災者が高齢化していくことに伴う健康問題や居住先の異動に関わる問題が顕在化してきていることが改めて確認された。今後、介護予防に向けた知見を得ることが急務と考えられる。 データ分析については、①データ収集、②探索的な分析を行った。①のデータ収集は、2017年度から順次、手続きを進めているものである。2018年度には対象地域である岩手県大槌町を訪問し、介護情報を収集した。これまでのところ、震災で甚大な被害を受けた陸前高田市、大槌町の介護情報が入手出来ている。2011年の発災直後(半年~1年)に収集された大規模データ(健康状態やソーシャルネットワークの多寡に関するデータを含むRIASコホートスタディ)と、現在収集している介護情報を連結させて分析する際、死亡者を除外することが求められる。母体となるRIASコホートスタディとの共同により、こうした情報を得たうえで分析する必要があるため、現在データの確定を待っている状況である。②の探索的な分析では、震災後にソーシャルネットワークが減少した住民であってもその後、つながりが回復する傾向が示された。縦断データを活かした分析は本研究の独自性として掘り下げるべきポイントであると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、研究に必要なデータの約3分の2を入手した。データを確定させるために必要な死亡者データは、行政、共同研究機関の協力が必要である。関係者間で状況を確認しながら進めているが、正確な情報収集のためには時間を要することがわかったため、慎重にデータ収集を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
分析に必要なデータセットを入手出来次第、最終的な分析に着手する。ただしデータ収集に著しい遅れが生じることが予想された場合には、代理指標を用いた分析に切り替える。分析後、論文化に取り組むと共に、研究協力者へのフィードバックに努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
市町村や共同機関におけるデータ収集が遅れているため、2018年度実施予定の現地調査や論文執筆に係る予算を執行できなかったため。
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