本研究課題では,近年の各種メディアの急速な発展を背景として,ソーシャルメディア上で行われる感情体験の共有(メディア上への感情の拡張),および,ヴァーチャル・リアリティ空間上で生じるリアルな身体感覚の発生(メディア上への身体の拡張)がもたらす心理的影響について検討した。 調査の結果からは,ネガティブな感情体験がソーシャルメディア上において共有されることによって,ネガティブ感情は低減していくよりもむしろ,維持・増大され得ることが示された。また実験の結果からは,ヴァーチャルな空間での刺激提示や空間移動体験は,実際の身体への感覚をもたらしつつ,さらに我々の認知的処理にも影響を及ぼす可能性が示された。
|