研究課題/領域番号 |
16K17290
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
玉利 祐樹 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60737360)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リスク認知 / 意思決定 / 言語プロトコル法 / 描画法 / 過程追跡法 |
研究実績の概要 |
本研究は、リスク認知と意思決定の関係を定量的に検討し、リスクコミュニケーションにおける合意形成に向けた処方的な利用方法の提案を目的としている。これまで、専門家と一般の人々の間にリスク認知の乖離が指摘されているが、リスク認知の構成過程とその構造が意思決定に与える異境の定量的な検討は行われていない。そこで、本研究では、放射線リスクを題材に、意思決定過程の追跡技法で言語プロトコル法と、投影法の一つである描画法を扱う潜在意味解析モデルから、リスク認知の構造が意思決定へ与える影響の定量的な評価を行うことを計画している。本年度は、研究実施計画の、1.言語プロトコル・描画データの収集と、2.潜在意味解析モデルによるリスク認知構造の分析を実施した。私立大学生を対象に、「原子力発電所がある町」・「あなたが住む町」の描画と、その絵についての説明を自由記述で回答させる調査を実施した。また、顕在尺度との関連を検討するため、Slovic (1987) のリスク尺度(改変版)も実施した。調査で得られた言語プロトコル・描画データに洗剤意味解析を適用して得られた潜在次元から、リスク認知の構造と、データ間の関連を検討した。描画データからは、科学的不明さ、恐ろしさ、制御不可能性との関連が示唆され、自由記述からは主に科学的不明さとの関連が示唆された。描画と自由記述との間には、関連性はあまり認められず、異なる情報を有しており、相補的に利用できる可能性が示された。分析から得られた成果については、学会で発表し、議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画では、以下の2点を目的としている。 1.潜在意味解析モデルを用いて、言語プロトコル・描画データから、専門家と一般の人々の放射 線のリスク認知の構造を推定し、各々のリスク認知構造と意思決定の関係を定量的に評価する。2.相互理解と合意形成の促進に向けた、リスクコミュニケーションを行う者同士のリスク認知 構造の差異を可視化する方法を提案する。本年度は、1.言語プロトコル・描画データの収集、2.潜在意味解析モデルによるリスク認知構造の分析の2点を予定していた。専門家への調査が実施されていないが、上記2点に関して、一般の人々を想定した大学生からの回答を得ている。よって、 研究計画全体としては、おおむね計画通りの進捗であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、リスク事象を原子力発電から食品に変更することを予定している。大学生を対象にした調査では、回答者の回答から、原子力発電所のある町の絵を描画することに、困難を覚える様子が窺えた。そこで、リスク事象を、 たとえば、福島県産の食品(米、桃、肉牛など)と、別の地域の同食品との比較を行うことを検討している。また、本年度、未実施である専門家への調査も、同時に進める。これらの計画を推進し、研究計画の3.可視化表現の検討と、4.相互理解の促進と合意形成の可能性の検討についても、実施していく予定である。
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