研究課題/領域番号 |
16K17291
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
綿村 英一郎 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (50732989)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 量刑判断 / 刑罰 / 犯罪 / ゲーム / モラル / 死刑 |
研究実績の概要 |
ある犯罪に対する適正な量刑はどれくらいであればよいのか?この問いは、常に社会的な関心を集める問題の1つであり、従来までは法哲学などの形而上学的アプローチによって追求されてきた。本研究の目的は、そのアプローチから一線を画し、“実証ベース”で犯罪に対する適正な量刑を検討することにある。さらにその検討によって、裁判員制度などの市民参加型司法システムにも応用できるような知見を提供し、罰の生得性や罰に対する社会環境の影響などに対する考察をすることで、人間のもつ社会性の理解に貢献する。前提として、本研究では刑罰を文化的産物と位置づけ、量刑に対する適正性の評価が社会環境の中で形成されていくプロセスを調べていく。初年度となる当該年度は、犯罪者を裁くゲームアプリ実験を計画した。開発したアプリはAndroidやiOSなど、スマホの各種プラットフォームに対応しており、次年度初期に公開できる準備がほとんど整っている。アプリという形で仮想の社会を作り、より大人数の参加者を集め、そのマスデータを数理科学的に分析することにより、犯罪者を裁く心理を実証ベースで明らかにする。また、当該年度は、アプリ開発に先んじて、犯罪シナリオを20ケースほど作成し、その妥当性についても詳しく検証した。付随する業績としては、2回の招待講演と1回の学会発表を行ったが、本丸のアプリが現時点では未公開のため、そのデータに基づく実績は得られていない。公開次第、分析と考察を進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度はアプリゲーム開発を中心に研究を行った。「年度内のアプリ完成」という目標には到達できたものの、犯罪シナリオの作成および(法律用語の確認、不自然なところがないかといった)校閲、アプリ配信元の確認やSSLサーバの手続き等に時間を要したため、年度内の公開には至っていない。次年度となる2017年度の6月までには公開できる見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
当該年度計画にあるアプリゲームに関しては、公開直後に分析ができるよう、専門のスタッフを用意している。次年度の文化間比較研究に関しては、研究協力者の異動があったため、WEBによるインターネットサーベイに変更し、その準備を整えている。
|