研究課題/領域番号 |
16K17295
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
杉浦 仁美 立命館大学, スポーツ健康科学部, 任期制講師 (10761843)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 集団間関係 / 集団構造 / 社会的地位 / 社会的支配志向性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,社会的地位の2次元モデルに焦点を当て,集団間葛藤にかかわる政治的態度に2種類の地位が及ぼす影響を検討することである。具体的には,尊敬ベースの地位認識は,社会的アイデンティティを介して集団間の肯定的態度に,支配ベースの地位認識は,現状の社会システムの肯定を介して集団間の否定的態度や保守的な政治的態度に影響すると予測している。 平成29年度の目標は,平成28年度に実施した研究で作成した尊敬-支配地位尺度の日本語版を用いて,2種類の社会的地位と政治的態度との関連を検討するためのWeb 調査を実施することであった。しかし,この調査で測定予定であった社会的支配志向性について,階層構造に対する積極的な支持を示すSDO-D(集団支配志向性)と,集団間の階層を維持する信念や社会政策の支持を通して集団間の平等に反対する姿勢を示すSDO-E(反平等主義志向性)の2因子構造を想定した新しい尺度(Ho, et al., 2015)が開発されたため,この尺度の翻訳,および妥当性・信頼性の検討が必要となった。そこで,共同研究者が主となり社会的支配志向性日本語版を作成し,大学生を対象とした調査を実施した。しかし,英語版と同様の2因子構造が認められず,信頼性も低かったため翻訳の修正が必要となった。現在,翻訳の修正を終え,再度大学生を対象とした調査の結果を分析している。その結果,SDO-Eについては概ね妥当性が確認されたが,SDO-Dについては一部の結果でHo, et al.(2015)と異なることが分かった。より幅広い層からの意見を収集するため,同様の質問項目でWeb調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
社会的支配志向性尺度日本語版の妥当性の検討について,当初の予定とは異なる結果が得られたため,平成29年度に実施予定であったWeb調査が遅れている。また,平成30年度に所属の異動があり,その準備・引継ぎのため研究に割ける時間が少なく,多少の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では,平成29年度にWeb調査,平成30年度に行動実験を行う予定であったが,進捗が遅れている。そこで,本研究の根幹である,2種類の社会的地位と集団間態度との関連を明らかにするためのWeb調査を優先して行う。研究成果は、日本心理学会、日本社会心理学会などの学会に発表し、早急に論文化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に実施する予定であったWeb調査の進捗が遅れているため、平成30年度に社会的支配志向性尺度の翻訳版の妥当性検証、および社会的地位と集団間態度に関する調査の2つのweb調査を実施する予定である。
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