研究課題/領域番号 |
16K17300
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
村山 綾 近畿大学, 国際学部, 講師 (10609936)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 公正推論 / 日米比較 / 時間認識 / 道徳基盤 |
研究実績の概要 |
当該年度は、まず異動に伴う研究実施環境を調整し、研究計画を修正した。そして、日米で若年者(18~29歳)、および高齢者(60歳以上)を対象としてデータ収集を行った。具体的には、個人の時間認識や、Murayama & Miura (2016)で使用された不運シナリオを用いて、道徳的価値の違いによる公正推論のされ方の違いについて検討した。本研究では、過去に行った先行研究の問題点を踏まえ、2点、測定方法に変更を加えた。まず、これまで2種類の公正推論(内在的公正推論、究極的公正推論)をそれぞれ2項目のリッカート法で測定していたが、本研究では参加者から多様な回答を得るために新たに自由記述の項目も加えた。次に、道徳的価値の操作について、これまでは「いい人」「悪い人」の2条件を設定していたが、新たに統制条件として道徳的価値の情報を示さないものを設定した。各国で700名程度、合計1500名分のデータが得られ、現在データ分析中である。 また、追加の研究として、公正推論と関連が深いと思われる、個人の道徳基盤を測定する尺度(MFQ:Moral Foundation Questionnair)の日本語版の妥当性と信頼性を検討した。MFQは多くの言語に翻訳され、世界各国で他の変数との関連が検討されつつある。日本でも金井(2013)が利用できるが、その妥当性についてはまだ系統だった検討が行われていなかった。分析の結果、オリジナル版の5因子モデルが他のモデルよりも相対的な当てはまりはいいものの、その絶対的な値は不十分であり、項目を選んだうえでIndividualizingとBindingの2因子と考える方が、妥当性が高いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では2年間で研究を完了する予定だったが、異動に伴う研究環境の整備、計画の見直しの必要性があり、結果として進捗がやや遅れることになった。ただし、当初の研究目的に沿って着実に研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に収集したデータの分析を継続して行う予定である。また今年度は得られた結果を学会発表や論文執筆を通して広く社会に公表していくための作業にも十分に時間をとる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画を変更し、オンラインでの調査を行ったことで費用が軽減された。また、平成29年度に支出予定だったアンケート実施費用の請求書が年度をまたぎ、その分が次年度使用額として繰り越されたため当初の予定より大幅に次年度使用額が生じた。
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