研究課題/領域番号 |
16K17304
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大谷 和大 北海道大学, 教育学研究院, 助教 (20609680)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リアクタンス / 学級 / 小学生 |
研究実績の概要 |
研究の概要 本研究の目的は,学級で強調される社会的な目標が児童の適応や意欲に及ぼす影響を明らかにすることである。今年度の研究では,学級における社会的目標(規範遵守目標vs 向社会的目標)の提示が心理的リアクタンスを介して当該目標の共有に影響する過程について検討するため,139名の小学生を対象に質問紙実験を行った。規範遵守目標とは,学級で強調される最低限守るべきルールに関する目標である(e.g., 提出物を忘れない)。一方,向社会的目標は,学級で強調される守ることが理想となる目標である(e.g., 友達と仲良くする)。また,心理的リアクタンスとは,心理的な反発を意味し,当該メッセージに対する実験では,教師が規範遵守目標および,向社会的目標を強調する2つの仮想的場面がそれぞれ提示された。各場面における心理的リアクタンスについて対応のあるt検定を行ったところ,規範遵守目標場面は,向社会的目標場面に比べリアクタンスの値が高かった。被験者内計画実験の媒介分析を行ったところ,規範遵守目標条件は心理的リアクタンスを媒介して当該目標の共有にネガティブに作用することが分かった。 本研究の意義 本研究は、なぜ規範の強調が当該目標の共有を阻害するのか、そのメカニズムを解明するものである。つまり、心理的リアクタンスが発生することで目標の共有を低下させることが明らかとなった。このことから,リアクタンスを発生させない目標の伝え方について解明していくことが今後の課題として示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り実験を無事に行い、結果はすでに投稿中である。また、教師対象の質問紙調査は予算の関係から次年度以降に実施することにした。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は当初の計画どおり、学級における教師と児童のコミュニケーションについて観察を複数回行う。教師対象の質問紙調査も実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の使用金額について当初申請した額よりも減額されて支給されたことと、大学の倫理審査の日程上、研究の一部の初年度実施を見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画自体はすでに進めており、予算について今年度の助成金と併せることで、一定の額を確保できるため進めていく。
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