研究課題/領域番号 |
16K17304
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大谷 和大 北海道大学, 教育学研究院, 助教 (20609680)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 社会的目標 / 学級 / 規範 / 小学生 |
研究実績の概要 |
今年度は小学校の学級の様子を1年を通じ観察した。観察の第1の目的は、規範逸脱場面において、教師は児童にどのような声かけを行っているのかを調べることで、児童にリアクタンスを喚起させない声かけについて明らかにすることであった。第2の目的は、複数の学級を観察することでそれらの学級がどのように学級集団として成立していくのか、教師の学級経営のアプローチを観察することであった。公立小学校1校の4~6年生の学級の様子を1学期に2回(4月と7月)、2学期(12月)と3学期(2月)にそれぞれ1回観察した。学級数は各学年に2クラスずつ、合計6学級であった。1回の観察では2日間滞在し、各クラス平均2時間の観察を行った。観察では、規範逸脱時の教師の対応は個人差があることが分かった。例えば、規範遵守にこだわる教師から重大な規範の逸脱のみ注意を与える教師、さらには学級のクラスの成員同士で注意を呼びかけるように仕向けるなど集団による自治を促す教師など。また声かけについても、「~しよう」など接近的な伝え方や「~したらダメ」など回避的な伝え方、「静かにしろ」など強制的な伝え方があった。現在、詳細な分類について分析中である。1年を通しての観察では、1学期の時点で向社会的な学級の雰囲気が形成されていると、学級経営が円滑にすすむ様子が観察できた。 また、今年度は昨年度のデータを論文化し心理学研究に発表した。児童への規範の提示は心理的なリアクタンスを発生させやすく、リアクタンスを発生させることで、規範を守るという態度を低下させることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた内容の研究を遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の観察の結果を踏まえ、リアクタンスを低下させる規範の提示方法について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に行う予定であった教員用のweb調査を次年度に行う予定である。
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