研究課題/領域番号 |
16K17310
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
村山 恭朗 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (00728785)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 情動調整 / 自閉症スペクトラム障害 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,自閉症スペクトラム障害(ASD)児の情動調整の実態,情動調整とメンタルヘルスの関連を検証することである。平成28年度では,ASD児と定型発達(TD)児の情動調整の異動を検証する前段階として,愛知県A市のすべての公立小中学校に通う小学校4年生から中学校3年生までを対象5448名(男子2800名,女子2648名)として,情動調整(反すう,問題解決,気晴らし,認知的再評価)の測定を行った。これに併せ,ASDと情動調整の関連の検証の一端として,ASD傾向と情動調整の関連について分析を行った。なお,先行研究において,ASDと注意欠陥多動性障害(ADHD)は併存する傾向が高いことが報告されていること(Stevens et al., 2016)から,本研究では,ADHD傾向を統制するため,ADHD傾向を測定した。 相関(Pearsonの積率相関)分析の結果,各情動調整とASD傾向は正の相関を示した(r=.253~.288)。相関係数には,他の変数を介した疑似相関が含まれていることから,各情動調整方略とASD傾向の直接的な関連を検討するため,重回帰分析を行った。分析の結果,各情動調整方略はASD傾向との間に有意な関連を示さなかった。一方で,各情動調整方略はADHD傾向と正に関連していた。 以上の結果からすると,各情動調整方略はASD傾向よりもADHD傾向とより強く関連する可能性が示唆される。今後の調査では,ASDの診断がある児童生徒の情動調整方略の測定を行うが,ASDとADHDは併存すること(Stevens et al., 2016)を踏まえると,ASD児は定型発達児に比べ不適応的な情動調整方略を示す傾向が高いことが推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は,異動後の初年度であったため,授業準備等の予定外の業務が立て込んだため, 計画通りの行程ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
既に,調査を実施する機関や自助グループには,研究依頼を済ませており, 着実に予定を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は,異動初年度であったため,授業準備等の予定外の業務が立て込んだため, 予定されていた研究計画通りに,研究を進められなかったため,予定の研究費を消費することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は,ADOS等の研修会参加,調査紙の印刷等の調査準備,調査実施に伴う謝礼,データ入力業務に伴う人件費などに対して,研究費を使用する。
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