2018年度は、国語の専門家の協力のもと、関東圏内の聾学校の児童を対象に感情への気づきを促す言語表現教育プログラムの実践研究を行った。本プログラムは、3段階から成り、1段階につき45分を月に1回ずつ行うという内容である。介入前から介入後にかけて3ヵ月に及び、本プログラムの介入前と介入後に測定を行った。 結果、介入前と比べて介入後に自分自身の身体感覚の変化や身身体の疲労感を自覚しやくなる可能性が示された。また、自分の考えを開示したい場合には、自分の気持ちや考えを友達に表現したり、話したりするスキルが促された可能性も示された。さらに、感情をイメージしたり自覚したりするための語彙の習得率が介入前と比べて介入後に上昇していた。したがって、今後も引き続き検討を重ねる必要があるものの、聾学校の児童を対象にした場合にも本プログラムの有効性は示された可能性はある。 今後、本研究結果を学会にて発表する予定である。 さらに、もう一つの研究として、1年前に本プログラムを受講している小学生の児童に対して、本プログラムを簡略化した課題を数週間にわたり自宅にて継続的に行うように求めた。 その結果、継続して実施しなかった児童よりも継続して課題を行った児童の方が自己のみならず他者の視点に立って考える等の得点が上がる傾向にあった。このことから、本プログラムを一時的ではなく継続して行うことが有益であると考えられる。 この研究に関しても、今後学会等で発表する予定である。
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