研究課題/領域番号 |
16K17321
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
渡邊 ひとみ 同志社大学, 心理学部, 助教 (90614850)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アイデンティティ / 就業継続女性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、本邦の子どもをもつ既婚成人女性が選択可能な主たるライフコースの差異(「就業継続」「出産を機に退職し、育児後に再就業」「出産を機に専業主婦」)に着目し、個々人のアイデンティティ(自分らしさ)とライフコースとの関連性がいかようにして女性の就労意識や幸福感を高めることに結びついているのかを実証的に検討することである。 これまでの研究では、アイデンティティとライフコース選択との関連性が報告されているものの、アイデンティティの確立度やアイデンティティ地位との関連から検討されることが多く、女性の日常生活に即した研究が乏しかった。そこで、本研究では、(1)女性が実際に関与し、コミットしているそれぞれの生活領域およびその領域で形成している多様なアイデンティティ(領域アイデンティティ)を包括的に捉えることで、その人らしさを多面的に測定し、(2)就労意識や幸福感との関連性を検討することで、女性の働きやすい環境を強化するための心理的支援や生活の質の向上を目指したいかなるアプローチが可能かを検討する。 平成28年度は、企業で働く「就業継続タイプ」の女性を対象とした調査研究を実施するため、国内外の関連文献のレビューを行うとともに、質問紙調査の対象企業リストを作成した。また、質問紙の構成や回答所要時間を把握する目的で、簡易な事前調査を実施した。事前調査結果を踏まえて質問紙の再構成作業を行ったのち、質問紙を発送する諸準備を済ませた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
簡易な事前調査の結果、研究当初に予定していた質問項目数がやや多く、調査参加者の負担や疲労による不適当な回答を回避する目的で、項目のさらなる選定が必要となった。そのため、質問紙の再構成作業を行い、進度にやや遅れが出た。また、質問紙の発送や返送、謝礼の送付といった一連の手続きには数ヶ月を要するが、年度末に研究代表者の所属先に変更が生じたため、調査参加者とのやりとりに支障が出る可能性を考慮し、発送自体の時期を次年度始めに変更した点も本研究が遅れた理由の1つである。しかし、研究課題遂行に大きな支障はない。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、前年度に準備を済ませた質問紙調査の実施(研究1)、およびフィールドを保育園・幼稚園に移した研究2(「再就業タイプ」および「専業主婦タイプ」の女性を対象とする)の実施を予定している。具体的な研究計画は以下の通りである。 4月から7月 就業継続女性を対象とした質問紙調査(研究1)を実施する。また、返送率が低い場合には、随時追加で質問紙の送付を行う(データ収集)。 8月から10月 データ解析および解析結果のまとめを行う。またこの間、研究2のフィールドを確保する。 11月から3月 研究2を実施する(データ収集)。また、研究1の結果を学会発表(日本発達心理学会およびThe Asian Conference of Psychology and the Behavioral Sciencesでの発表を目指す)で報告し、論文を執筆する。 なお、研究2では、再就業タイプの女性80名、専業主婦タイプの女性80名、計160名ほどのデータ収集を目指すが、フィールド確保の際におおよそのデータ収集可能数が把握できるため、十分なデータ数を確保できないことが予測される場合には、11月から3月までの間にさらなる調査フィールドの確保を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた質問紙項目を再構成する必要が生じ、また研究代表者の所属先の異動が生じたことから、本年度に計画していた質問紙調査の時期を次年度のはじめに変更した。そのため、調査の郵送費や調査参加者に対する謝礼など、当初予定していた経費の執行が次年度に変更された。
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次年度使用額の使用計画 |
企業で働く女性を対象に質問紙調査を実施するため、質問紙の郵送費および調査参加に対する謝礼等に使用する予定である。
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