研究課題/領域番号 |
16K17321
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
渡邊 ひとみ 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 講師 (90614850)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アイデンティティ / 主観的幸福感 / 就労意識 / 雇用形態 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、子育て期にある既婚女性の就労意識や主観的幸福感にアイデンティティ特徴がいかようにして影響しているのかを明らかにすることである。従来のアイデンティティは、地位理論に基づいた「危機の有無」や「コミットメント」によるタイプ分け、アイデンティティの確立度といった点から主として検討されてきたが、本研究では個々人が日常生活において実際に参加している領域を考慮に入れた上で構造的特徴を検討し、その特徴が就労意識や主観的幸福感とどのように関連しているのかを検討する。 平成29年度は、出産後も就業を継続した女性133名(就業継続タイプ)、出産を機に退職し、育児が落ち着いてから再就業した女性135名(再就業タイプ)、出産を機に退職した女性137名(専業主婦タイプ)を対象に質問紙調査を実施した。その結果、既婚有子女性が自分らしさを表現できると評価した生活領域数はいずれのライフコースにおいても約2.5領域であった。主として「家庭」と「自身の実家」が自分らしさを表す領域として選択されたが、就業継続タイプは「職場」も自分らしさを表現できる重要な場所として捉える傾向がみられた。各生活領域で形成されているアイデンティティ特徴(情動・対人行動・自己評価側面)や、生活領域間でみられるアイデンティティ特徴の差の程度(領域による相違性)、また主観的幸福感にはライフコースによる差はみられなかった。しかし、就業継続タイプおよび再就業タイプにおいては、キャリア形成に対する主体性の高さが主観的幸福感を高めることにつながっていた。 また、雇用形態による差もみられ、就業継続であれ再就業であれ、正規雇用者はキャリア主体性やアイデンティティ特徴(情動的側面)といった心理学的要因のみが主観的幸福感を規定していたのに対し、非正規雇用の場合には世帯収入などの経済的要因も主観的幸福感を高めていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題着手初年度に研究代表者の所属先の変更が生じ、予定していたフィールドでテータ収集をすることが困難になったため、インターネット調査に変更をした。そのため、初年度は研究がやや遅れていたが、平成29年度はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究計画は以下の通りである。 4月から9月にかけて、質問紙調査結果を再確認するため、また質問紙調査では捉え切れなかったアイデンティティ、就労意識、そして主観的幸福感との関連性について検討するため、インタビュー調査を実施する。企業や保育園・幼稚園等に募集依頼を行い、各ライフコースを選択した女性15名ほどを対象に半構造化面接(およそ30-40分)を行う。また、平成29年度の研究成果を論文としてまとめ、投稿する。 10月から3月にかけて、データを分析し、結果をまとめ、国際学会での発表および論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた企業および幼稚園等への質問紙調査をインターネット調査に変更したため、次年度使用額が生じた。 平成30年度はインタビュー調査を実施予定であるが、研究代表者の所属機関の変更により、インタビューに出向く際の交通費増額が予想されるため、今回生じた次年度使用額を活用し、円滑にインタビュー調査を実施していく予定である。
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