研究課題
本研究では,ふり遊びにおけるシンボル(以下,玩具)の多義性および見た目の類似性に着目した研究を行った。具体的には,玩具と指示物との類似性を操作することにより,どのような玩具を用いることが乳幼児の想像力を促すか,子どもの発達に応じた検討を行った。ふり遊びにおける玩具については,どのような玩具が子どもの想像性を促すか,実証的な検討は未だ少ない。そこで本研究では,ふり遊びを行うようになる1歳半,その移行期である2歳,子ども主体でふり遊びを行うようになる2歳半という3つの年齢を対象に,実験室における実証実験を行った。2017年度は子どもに,3種類の玩具を提示し,子どもがどの玩具を選択するか,また選択した玩具でどれくらい遊ぶかについて実験を行った。実際には,玩具は指示物のシンボルであるが,指示物からの見た目を近いもの(e.g., 本物のフライパン)から遠いもの(e.g., 色が派手なおもちゃ)までの3種類を用意し,独立変数を,見た目および年齢(1歳半,2歳,2歳半)とした3×3の被験者間デザインの実験を行った。その結果,1歳半は類似性が低く色が派手な玩具を有意に多く選択したが,遊ぶ時間は短いことが示された。一方子どもが主体的にふり遊びを行うようになる2歳半では,指示物からの距離が近い本物を有意に多く選択するようになった。また,選択した対象で遊ぶ時間は,1歳半時よりも有意に長いことが示された。以上の結果より,ふりの発達に応じて子どもは選択する玩具も異なることが,さらには玩具で遊ぶ時間も異なることが示された。今後は,玩具の多義性を操作することにより,どのような玩具が子どもの想像を促すかについて検討を深める。
3: やや遅れている
1歳半から2歳,2歳半児を対象としていたが,月齢ちょうどの参加者が集まらなかったり,風邪などにより実験がキャンセルになったりと,参加者が思うように集まらなかったため計画が遅れている。
今後,より多くの参加者を募り,実験を実施する。
参加者が思うように集まらなかったことから,次年度に実験計画を延長したため。
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Frontiers in Psychology
巻: 8 ページ: 1862
10.3389/fpsyg.2017.01862.