研究課題/領域番号 |
16K17329
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
堀田 亮 岐阜大学, 保健管理センター, 助教 (10733074)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 学生相談 / 臨床心理学 / 心理アセスメント |
研究実績の概要 |
(1) Counseling Center Assessment of Psychological Symptoms (CCAPS) の項目翻訳:原著者であるBen Locke博士の許諾を受け、CCAPS全62項目の翻訳を行った。翻訳作業はTranslation Policyに則り行った。まず、2名の独立した翻訳者が作成した日本語訳案を、3名の研究者で吟味し、暫定版を作成した。その後、逆翻訳を校閲・翻訳サービス会社に依頼して作成し、その暫定版と逆翻訳版を、原著者の1人であるAki Kawamoto博士が確認、修正し、最終的な日本語訳案を作成した。 (2) CCAPS-62日本語版 (J-CCAPS-62)パイロットスタディ:2016年12月から2017年2月に、国立大学3校、私立大学7校の学生に質問紙調査を行った。実施に際しては、学内の倫理審査の承認を受けた。回答の得られた1403名(男性596名、女性772名、不明35名、平均年齢19.44±1.91歳)を分析対象とした。分析の結果、原版と同様の抑うつ、全般性不安、社会不安、学業に関する悩み、食行動、敵意、家族に関する悩み、物質使用の8因子構造が確認され、各因子間に有意な正の相関関係が示された。また、各因子の内的一貫性は十分であることが示された。各得点の性差についてt検定を行った結果、総じて女性の方が男性よりも得点が有意に高かった。 (3)CCAPS Manualの翻訳:Center for Collegiate Mental Healthが発行するCCAPSの使用に関する Manual(全65ページ)の日本語版の翻訳作業を行った。概ね作業は完了しており、現在は翻訳の確認と、公開方法の検討段階である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、CCAPSの項目翻訳、CCAPSのパイロットスタディ、CCAPS Manualの翻訳を進めることができた。パイロットスタディの結果はAmerican College Health Association Annual Meeting 2017および日本心理臨床学会第36回大会で発表予定である。 平成29年度に予定している調査も実施の目処が立っており、今後の解析も予定通りに完遂できるものと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、J-CCAPS-62の信頼性、妥当性検証を行う。具体的には以下の2点を中心に実施する。 (1) J-CCAPS-62の信頼性検証:約100名の学生を目標数とした調査を行う。1か月間隔を空けた2時点の調査を行い、両データの相関係数を算出することで、再検査信頼性の検証を行う。 (1) J-CCAPS-62の妥当性検証:約1500名の学生を目標数とした調査を行う。J-CCAPS-62の弁別的妥当性、収束的妥当性を外部尺度との相関関係を算出することで、検証する。抑うつ因子はBeck Depression Inventory、全般性不安はState-Trait Anxiety Inventory、社会不安はLiebowitz Social Anxiety Scale、学業に関する悩みは大学生用適応感尺度、食行動はEating Attitudes Test-26、敵意はState-Trait Anger Expression Inventory-2、家族に関する悩みはFamily Adaptability and Cohesion Evaluation Scales Ⅲ、物質使用はAlcohol Use Disorders Identification Testをそれぞれ用いて検証する予定である。全尺度を同時に行うと調査協力者の負担が大きいと考え、調査の実施は3つの質問紙に分けて、それぞれ別の対象者に行うこととする。この点については、CCAPSの原著者から承認を得ている。 得られた研究成果は、パイロットスタディの結果と合わせ、国内外の学会で公表するとともに、論文執筆を進める。
|